みなさん、サービス付高齢者住宅(以下サ高住)をご存知でしょうか?サ高住は民間の事業者でも経営ができます。政府はこのサ高住を今後10年間で60万戸にまで増やすと目標を掲げ、各種優遇措置を用意しました。いかに民間の資本を利用し、国の財源の支出を抑制したいか、という意図の表れに他なりません。
新築の場合、建設費の10分の1、一戸あたり100万円を助成、固定資産税を5年間税額を3分の2に軽減、不動産取得税を家屋課税標準から一戸あたり1200万円控除、低利の融資を用意など、その手厚さにハウスメーカーなどが新しいビジネスチャンス到来となりました。これだけ優遇されるのですから建てねば損と、土地所有者も乗り出し、その結果、サ高住は登場から3年弱で13万戸、まさに雨後の筍の勢いで増加しました。時には、介護施設の救世主とまで言われることがあります。しかし、現場からすると、“サ高住は救世主どころかあまり役に立ちません”。
いくつかの理由をご紹介します。
① サ高住は賄い付アパートのようなもの・・かなり介護が軽い人しか対応できません。
② 介護者の人員配置に規制がないため、私が知るサ高住の夜間帯は、45人に対して夜勤者一人です。
③ 以上から、重度になると対応できずに、退所せざるを得ません。
④ その上費用負担は、最低でも月額20万円を超える施設が殆どです。
一般にサ高住の損益分岐点は入居率70%と言われていますが、高い割に、役に立たないことが分かってきたため、入居率が30%を下回るような物件もあります。アパートを建てる代わりに安易にサ高住を立てた家主が、破産に追い込まれることも予想されます。