初めて、瀧本哲史さんのデビュー作『武器としての決断思考』を読んだときは、衝撃的でした。その視点と考え方に共感して、「君に友だちはいらない」、「僕は君たちに武器を配りたい」、「武器としての交渉思考 」、「ミライの授業 」など何冊も読まさせていただきました。そんな瀧本哲史さん、2019年に病のため 47 歳の若さでお亡くなりになりました。そんな、瀧本哲史さんが、「2020年の6月に再び会いましょう」といって行った講義が本になりました。一部ご紹介します。
- 特定のリーダーをぶち上げて、その人が世の中を変えるという「カリスマモデル」は、どうもうまくいかないんじゃないか。
- 仏教には「自燈明」という言葉があります。自ら明かりを燈せ。つまり、他の誰かがつけてくれた明かりに従って進むのではなく、自らが明かりになれ、と突き放したわけです。
- 「誰がうまくいくかわからないけれども、そういう人たちに武器を与え、支援するような活動をしたほうが、実際に世の中を変えられる可能性は高いんじゃないか」ということ。 つまり、「カリスマモデル」でなく「武器モデル」です
- 現代社会では、しっかり自分の頭で考えられない人間は、「コモディティ(替えのきく人材)」として買い叩かれるだけです
- 学問や学びというのは、答えを知ることではけっしてなくて、先人たちの思考や研究を通して、「新しい視点」を手に入れることです。
- 自分で考えるためにはやっぱり、考える枠組みが必要なんです。その枠組みが教養であり、リベラルアーツであるということです。
- 天動説から地動説に変わった理由というのは、 説得でも論破でもなくて、じつは「世代交代」でしかなかったんです。つまり、パラダイムシフトとは世代交代だという
- 「僕がかわいそうだからどうにかしてほしい」ではなく、「あなたが得をするからこうすべきだ」。これ、交渉の超基本になります。
- ベンチャー企業というのは、統計的に100社あってうまくいくのはたった3社くらいだと言われています。要は「3勝97敗のゲーム」なんですね。でもぜんぜん悲しむことはなくてですね、失敗した人はまた再チャレンジすればいいだけです。そうやって失敗と成功をグルグル回していって、社会を良くしていくのが、資本主義の素晴らしいところなんですね。
- クモは頭を潰せば死んじゃいますが、ヒトデって、真っ二つに切られても、それぞれが個体になって再生します。それは神経細胞のネットワークが全身にあるからだそうですが、組織もそういう「頭」がないほうが強いんです。
- 「そういうバイブルみたいな本、大っ嫌いなんですよ」
- アイデアなんてものに価値はなくてですね、それをやるメンバーの実行力とかのほうが、はるかに重要なんです。
- その人が過去に生きてきた人生とか、 挫折とか、成功とか、そういうものは盗めないんですよね。
- 「ボン・ヴォヤージュ」はフランス語で「よき航海をゆけ」という意味で、見送りの際なんかに 交わされるんですけど、もともとは船長同士の挨拶になります。 自分の船を持っている船長っていうのは、リスクを自ら取っている人で、意思決定者なんです。航海において意思決定をする立場にない船員は、「ボン・ヴォヤージュ」って挨拶は、しないんですね。