マイナ保険証はメリットだらけ 

マイナ保険証はメリットだらけ 

マイナンバーカードの健康保険証(以下マイナ保険証)の利用はすでに始まっています。当院でも令和6年4月より積極的にマイナ保険証の利用をお願いして、現在は3割程度の方に利用いただいています。マスコミはすぐにネガティブな情報ばかりを伝えます。しかし、現場では多くのメリットと将来への可能性を感じています。今回の記事では、マイナ保険証のメリットについてご紹介します。

目次

1.高齢者も思いのほか持っている

当院の患者さんの平均年齢は相当高いです。そのため、「マイナ保険証の利用」は難しいかと思っていました。しかし「次回から、マイナンバーカード持ってきてくれませんか?」とお願いすると、半分程度の方は、「今も持っています」との回答でした。そのため令和6年5月の段階で2割程度の方にマイナ保険証を利用いただけました。

実際、多くの医療機関ではマイナ保険証の利用率が上がらないことに頭を悩まされています。しかし、医療機関側から積極にて声掛けをすると多くの方が利用してくれる可能性があるのです。

2.健康保険証の不正利用は医療機関の悩みの種

医療機関を悩ます問題点として、「健康保険証の不正利用」があります。不正利用とは言葉が強いのですが、会社を辞めて保険証が使えなくなってもそのまま受診をする人が結構いらっしゃるのです。本人としは、「不正」と感じていないのかもしれませんが、医療機関としてはその分の診察料はいただくことはできません。さらに薬局で薬が処方された場合は、薬局が受け取れなかった薬代は処方箋をだした医療機関の負担になってしまうのです。医療機関としては、いただいてもいない薬代を引かれるわけですから完全なマイナスになるのです。マイナ保険証を利用いただければ、その時点で瞬時に照会されますので、不正利用はできなくなります。

3.マイナ保険証によるデータの共有は最大のメリット

患者さんにとっての最大のメリットはデータを共有できることです。

3-1.薬の処方歴

過去に処方された薬や、他の医療機関で処方された薬を医師・薬剤師に口頭で正しく伝えることは大変です。受診時・調剤時にマイナ保険証を使うと、情報提供に同意することで、過去に処方されたお薬の情報を医師・薬剤師にスムーズに共有することができます。旅行先などで急病になって医療機関に受診する際には、相当のメリットです。

3-2.検診結果の共有で医療費の節約も

薬の情報だけでなく特定検診のデータも共有されます。実際、当院の患者さんでも電子カルテ上で数年前からの検診データが見ることができ重宝しています。今後、特定検診だけでなく他の医療機関のデータも見られるようになると患者さんのメリットだけでなく、無駄な検査も減らせられるので医療費の節約になります。

4.電子カルテを導入しない医療機関は退場?

令和6年の保険診療の改訂では、「電子カルテを導入しない医療機関は退場」と言えるようなものでした。生活習慣病の加算は減算、ただし電子カルテを使って加算を取れば従来並みの点数になるというものです。国は、すべての医療機関に電子カルテを導入し、すべての医療機関のデータを把握、それにより国全体の医療費の適正配分につなげようとしているようです。超高齢化時代に向けて、財源が限られているのですから、やむを得ないと思われます。


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5.マイナンバーカードの問題点は大したことはない

マイナンバーカードの問題点としては以下のようなものがありますが、少なくともマイナ保険証のメリットを考えると僅かなものです。

5-1.盗難・紛失

マイナンバーカードに搭載されているICチップには税金や年金、健診結果、薬剤情報などのプライバシー性の高い情報は入っていません。また、不正に情報を読み出そうとするとICチップが自動で壊れる仕組みとなっています。したがって、仮に盗難・紛失しても心配はありません。

5-2.行政でミスやトラブル

確かに、行政で以下のようなミスやトラブルが相次いでいます。

  • 健康保険証として使う「マイナ保険証」に別人の情報を紐づけていた
  • コンビニで各種証明書を取得しようとしたら別人のものが出てきた
  • 本人が希望していないにもかかわらず健康保険証を紐づけしてしまった

当事者としては、大問題ですが、国民全体の中の頻度でいえば僅かです。今後もシステムエラーやヒューマンエラーが起こり得ますが、徐々に改善されます。医療を受ける個々のメリットを考えると、温かい目で見守ってあげて欲しいものです。

5-3.有効期限があるため更新手続きを行う必要がある

マイナンバーカードの有効期間は、発行日から10回目の誕生日(未成年者は5回目)まで、電子証明書の有効期間は、年齢問わず発行日から5回目の誕生日までです。有効期限通知書とマイナンバーカードを持参して市区町村窓口で手続きを行わなければならないのは手間です。今後、有効期限については延長を検討いただければ嬉しいです。

6.まとめ

  • マスコミはいろいろ言っていますが、現場ではマイナ保険証はメリットと今後の可能性がいっぱいです。
  • 多くの患者さんにとって。マイナ保険証によるデータの共有は最大のメリットです。
  • システムエラーやヒューマンエラーについては、温かい目で見守ってあげて欲しいものです。
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