私の嫌いな言葉に、「面倒くさい」があります。先日も、「面倒くさい」を連発する人に出会って、周囲もとても不快でした。「面倒くさい」という言葉は、現代人の誰もが一度は口にしたことがある言葉でしょう。忙しい日々の中で、やるべきことが山積みになっている時、つい心の中で「面倒くさいな…」とつぶやいてしまうのは自然な感情です。しかし、これが「口癖」となっている人には、ある共通した傾向があります。彼らの人生には、お金も健康も人間関係も、なぜかうまくいかないことが多いのです。
目次
1.「面倒くさい」が行動を止める魔法の言葉になる
まず、「面倒くさい」という言葉には、自分自身の行動を止めてしまう力があります。例えば、部屋の掃除。ちょっと散らかっているだけでも「まあいいか、面倒くさいし」と先送りしてしまう。健康診断の予約も「今じゃなくてもいいか」と放置。資格取得やキャリアアップのための勉強も「続けるのが面倒くさい」と途中で投げ出してしまう。一見、小さな「面倒くさい」の積み重ねが、数ヶ月、数年後に大きな差を生むのです。努力を続けた人と、「面倒くさい」で止まってしまった人。その差は歴然です。
2.お金が貯まらない人の共通点
お金がなかなか貯まらない人の多くには、「面倒くさい」という口癖が深く関わっています。家計簿をつけるのが面倒、レシートを整理するのが面倒、ポイントやクーポンを使うのが面倒。そうした日常的な「面倒」はもちろんのこと、もっと深刻なのは「適切な時期に適切な投資をしないこと」です。たとえば、NISAやiDeCoなど、国が支援する非課税制度を利用すれば、少額からでも資産形成が可能です。しかし、「調べるのが面倒」「手続きが複雑そう」といった理由で、何年も何もしないまま放置してしまう人が多く見られます。
3.インフレ時代には更に大きな差が
これからの時代、インフレが進めば進むほど、現金をただ銀行に預けているだけでは資産価値が目減りしていきます。つまり、何もしなければ、実質的に「損」をしているのと同じなのです。投資は確かにリスクもあります。しかし、「面倒くさい」を理由に知ろうともしない人は、そもそも正しく恐れることすらできません。その結果、「投資は怖いものだ」という漠然としたイメージだけで距離を置き、行動しない。これが、将来的な資産形成に大きな差を生むことになるのです。
一方で、少しずつでも学び、行動に移した人は、資産を守るだけでなく増やす力を持つようになります。インフレの影響を最小限に抑え、物価上昇にも耐えられる生活基盤を作ることができます。これは単に「お金を増やす」だけでなく、「将来の不安を減らす」という大きなメリットでもあります。「投資って面倒そう」と感じたその時こそ、一歩踏み出すチャンスです。調べる、勉強する、試してみる。その積み重ねが、未来の自分を豊かにしてくれるのです。
4.健康を損なう原因の多くは「怠け心」
健康管理も、「面倒くさい」が災いの元になります。運動を始めようと思っても「今日は疲れてるし、明日からでいいや」。食生活を見直そうとしても「作るのが面倒だから外食で済まそう」。病院に行くのも「まだ大丈夫だろう」と放置。これが積み重なると、気づかないうちに体調を崩し、取り返しのつかないことにもなりかねません。「面倒くさい」の一言が、自分の体をないがしろにすることにつながるのです。
5.人間関係も「面倒くさい」で壊れていく
人間関係においても、「面倒くさい」が口癖の人は、相手からの信頼を失いやすくなります。返信が遅れたLINEやメールに「返すのが面倒で」と返事をしなかったり、誘いを「面倒だから」と断ってばかりだったり。誕生日のメッセージやちょっとした挨拶すらも「面倒くさい」と感じてしまう。
最初は些細なことでも、それが積み重なれば、相手は「この人は私との関係を大事にしていない」と感じてしまいます。人間関係は手間をかけて築いていくものです。「面倒くさい」と感じたその瞬間に、一歩踏み出せるかどうかが、信頼を得る鍵となるのです。
6.「面倒くさい」を乗り越える力が人生を変える
では、どうすれば「面倒くさい」という気持ちに打ち勝てるのでしょうか? 答えはシンプルです。まず、動くこと。完璧を求めなくていいのです。5分だけでも、少しだけでも手をつけてみる。その行動が、次の行動を生み出します。面倒に感じることの多くは、始めてしまえば意外と簡単に終わるものです。掃除も、勉強も、連絡も、手をつければ「あれ、思ったよりすぐ終わったな」と感じることがほとんどです。
そして、動いた結果として得られる達成感が、自己肯定感を高めてくれます。その積み重ねが、お金も、健康も、人間関係も、人生全体をより良い方向へ導いてくれるのです。
7.まとめ
「面倒くさい」は、誰にでも訪れる感情です。しかし、それを口癖にし、行動のブレーキにしてしまうか、それとも「面倒だけど、やってみよう」と乗り越えるかで、人生の質は大きく変わってきます。
「面倒くさい」を理由に何もしない人生には、何も起こりません。逆に、「面倒くさいけどやる」習慣を持った人の人生には、努力の結果としての喜びや充実が、確実に訪れるのです。
あなたが「面倒くさい」とつぶやきそうになった時、ぜひこの文章を思い出してみてください。

認知症専門医として毎月1,000人の患者さんを外来診療する長谷川嘉哉。長年の経験と知識、最新の研究結果を元にした「認知症予防」のレポートPDFを無料で差し上げています。