マンガ『ボケ日和』の帯にコメントをいただいた阿川佐和子さんの本です。思わず題名から手に取ってしまいました。老人に向けての心構えが、面白おかしく。そしてためになる情報も何気なく含まれています。そのうえ読み物としても面白い。気軽に一読を!
- シワの他にも毛髪ボリューム問題、頬垂れ問題、腹部周辺浮き輪現象(別名チチ下肉問題)、手の甲の縮緬化現象など、際限なき老化現象が次々に私の心を沈ませてきたが、それらも長くつき合ううち、「ま、そんなもんか」と半ば諦めの境地に至る
- まぶたのむくみの原因は、不摂生でも深酒でもない。もちろんものもらいでもなかった。そうではなくて、筋力の低下と引力の導き、すなわち老化現象によるものだった
- 老化とは、ひたすら順応することである。ついでにアンチエイジングとは、順応したくない人のためのもの
- たいていのメイクさんは心優しい。そして本当のところは極端なお世辞が苦手である。
- 私の身長は公称百五十センチ。でもだいぶ昔から明らかに身体の縮小が進んでいるので、今はたぶん百四十七、八センチしかない
- オンナは言葉が巧みだから、褒めているような口調を使って相手を叩きのめす技に長けているんです
- かつて私は「胸当て下着(すなわちブラジャー)を三週間洗わない不届き者」と呼ばれた女
- 雑菌を排除し過ぎるから日本人は脆弱になるのよ。少々雑菌がついているほうがいいんだって。
- 私の五十代は暗中模索の繰り返しであった。自らの身体の不調と親の介護問題を同時に迎え、今後の仕事の方針を根本的に変えなければならないかと深刻に考えた年頃
- 異性と会話することが極めて気楽になったのは、五十代のご褒美
- 今年も確実にシミが増えた。「日焼け止め、塗ってくださいね」と、仕事場でお化粧をしてくれるメイキャップ係にいつもさりげなく叱られた
- 肌のことだけを考慮すれば紫外線はもしかして「百害あって一利なし」かもしれないが、身体全体のことを考えると、太陽は百利も二百利もあるはず
- 言葉は、発する側より受け止める側のほうがいつも繊細
- ポジティブとは、もしかして、本人ちっともポジティブと自覚していない生き方のことを言うのか。
- 物理的に可愛い声が出なくなるのだ。それは老化現象の一環か、はたまたホルモンの問題か。理由は定かでないけれど、オンナにも変声期があることは確か
- 若い娘さんたちに告ぐ。今、出しているその愛らしい声は、そのうち出なくなりますぜ。今のうちにせいぜい活用しておきなさい