自分自身は、時価総額で世界の10%に満たない日本株には関心はないのですが、著者の藤野さんの視点はとても勉強になります。
- 今の日本と世界の状況をさまざまな角度から深く分析 した結果として、私が 本気で「日経平均 10 万円時代」が来ると確信 している
- 知見を総動員し、今、 日本が 30 年ぶりのインフレ経済に突入 しつつあるという状況、そして足元で起きている テクノロジーの急速な進化や地政学的な問題 なども考え合わせたとき、「日経平均 10 万円」は必然
- 世界の投資家の間では「資本コストは平均して7%程度」という目安 があり、さまざまなデータから、「ROEがそれを上回る8%あれば、多くの投資家が納得できる」と考えられているのです。
- PBR1倍までは株価が「見える資産」を反映し、1倍を超えた部分は「見えない資産」を反映 しているということになりますが、近年の米国ではPBRが2倍を超えて3~4倍程度まで右肩上がりに上昇してきている
- 2022年7月時点で日本の主要企業は依然として 40%が「ROE8%未満」、 43%が「PBR1倍割れ」の状態にあります。
- 株主の権利を無視し、会社に寄生しながら楽園生活を謳歌する「サラリーマン社長」による経営 は、更新投資を中心とした保守的なものになることを運命づけられていました。
- バブル崩壊後、ダイエーのような「インフレ銘柄」は低迷し、銀行株なども劇的に値下がりしてPBRが0・5倍を割るような会社が次々に出てくる一方、世の中ではニトリ、ユニクロ、ドン・キホーテ、サイゼリヤや100円均一ショップのセリア等が人気を集め、 株式市場も「デフレ銘柄」が席巻 していったのです。
- インフレ経済では「持つ者」が強く、逆にデフレ経済では「持つ者」が苦しい ということがよくわかります。
- この 10 年間で株価が上がった1705社について調べると、平均して 株価も利益も約2倍 になっていたのです。この1705社の内訳を見ると、大型株は4%に過ぎず、中小型株と超小型株が 96%を占めていました。
- 日本の株式市場の足を引っ張っていたのは大企業で、中小型株に分類される企業群は非常に元気だったのです。
- ひとたび世界に目を転じれば、 1990年から現在まで、日本以外の国ではおおむねインフレ経済が続いている のです。日本でデフレが 30 年も続いてきたことが、むしろ普通ではなかったと言えます。
- 吉野家の牛丼は今、並盛1杯468円です。一方、今アメリカの吉野家では同じ牛丼が約1500円で売られています。
- これは円安の影響もありますが、アメリカで継続的に物価が上昇してきたことが大きな理由です。
- 日本がこれまで、 ①女性の社会参加率の上昇、②シニアの社会参加率の上昇、③外国人労働者の増加によって労働力不足を補ってきた からです。
- 共働きの増加や非婚化によって上昇し続けてきた 女性の社会参加率ですが、いまやほぼ限界 に近くなっています。
- それに伴って シニアの社会参加率 は上昇し続けてきましたが、近年は頭打ちになっており、 これ以上の上昇は望めそうにありません(図2-9)。 頼みとなるのはもはや外国人労働者の増加だけですが、円安によって日本は「稼げる国」ではなくなってきています。
- 「日経平均株価 10 万円」は、 ①インフレの進展、②大企業の変化、③次なる希望を示す新興企業の台頭 の3つが揃わなければ達成しない
- 日本の資産全体のうち、富裕層の上位1%が保有する割合は 20%強です。「上位1%が2割も持っているのか、格差社会だな」と思うかもしれませんが、世界の中ではこの割合は低いほうで、米国では富裕層上位1%が国内資産全体の 40%以上を支配しています
- 「節約してお金を貯めておけばいい」 というデフレ的な生き方、「絶対に損はしたくない」 とリスクを取ることを避ける 非投資的な生き方が、そのまま人生の価値観の柱になっている 人がたくさんいるのが今の日本なのです。
- マネー障害は大きくは「マネー回避」と「拝金主義」に分類されます
- 世の中をよくして明るい未来をつくる」ことを目指す株式投資は、そのまま利益を追求することでもある のです。
- 利益を上げ続けていける会社」とはどんな会社なのかを考えると、結局のところ「真面目な会社」 なのです。
- 10 年後の未来は、すでに存在している
- ・ワクワクしたり楽しかったりするようなポジティブな感情があること(Positive emotion) ・没頭したりいい意味でのめり込むことができるものがあるなど、物事に積極的にかかわっていること(Engagement) ・他者とよい関係性を築いていること(Relationship) ・自分の人生に意味を感じられること(Meaning) ・達成感を持てること(Achievement) ……という5つの要素が揃っているとき、人は「ウェルビーイングだ」と感じるというのがセリグマンの考えです。