この本は多くの日本人が学ぶべき本です。仕事仕事で忙しく、家族との夕食もままならない。そのくせ日本の国際競争力ランキングは2022年が 34 位、2023年は 35 位。対して、デンマークは、午前8時から9時頃、 淹 れたてのコーヒー1杯とともに軽やかに仕事を開始したかと思うと、午後4時頃、すでにオフィスから姿を消している。それでいて、国際競争力ランキングは2022年から2年連続世界ナンバーワン。彼らから学びましょう。
- デンマークの一般家庭は、午後4時頃には子どもの迎えをして、午後5時から6時頃には家族みんなで夕食を囲む。夜遅くまであくせく働いて、満員の終電に乗り込む東京の光景は、デンマーク人がどんなに想像をめぐらしても、イメージできない
- この国が、2022年・2023年と2年連続で国際競争力ナンバーワンに選ばれたことは、 紛れもない事実だ。それどころか、世界デジタル競争力、電子政府ランキング、環境パフォーマンスでいずれも1位、SDGs達成度もトップ3常連国と、国際評価の高さを数えれば枚挙にいとまがない。
- 北欧のデンマークは、素敵な矛盾に満ちている。
- 進学・結婚・離婚・就職・転職といった人生の岐路において、あれかこれかの二者択一は迫られない。幅広く張り巡らされ合流や分岐を繰り返す電車の路線のように、人生の選択肢は複数用意されていて、軌道修正がしやすい。
- 物価が高くて、カフェでカフェラテ1杯とサンドイッチ1個を注文するだけで約2500円する。一方で、約2500円が一般的に最低ラインの時給でもある。
- 税金が高く、消費税は 25%で、給料の約半分を税金として納めなければならない。けれど、医療費も教育費も無料で福祉が充実しているので、人生なんとかなるという安心感がある。
- 家庭菜園を楽しみ、週末には公園や森を散歩し、のどかな自然を愛する国民たち。それなのに、高齢者もITを駆使し、ネットバンクやオンライン手続きを当たり前に利用する「デジタル化先進国」でもある。
- デンマークで世界的に知られる企業は、 玩具レゴブロックで知られるレゴ社(LEGO)、日本ではサントリーが販売代理店となっているビールメーカーのカールスバーグ社(Carlsberg)、風力発電機の設計・製造・販売で世界をリードするベスタス社(Vestas)、コンテナ船を強みとする世界一の海運企業マースク社(Mærsk)、グローバルな製薬会社のノボノルディスク社(Novo Nordisk)。 千葉県よりも人口が少ない国ながら、グローバルな舞台で活躍するデンマーク発の企業は意外に多い。
- デンマークの高い国際競争力の主な理由は、状況変化に対する企業の迅速な対応力、モチベーションが高い社員、高度なDX化である
- デンマーク人は「楽しんで」時代の変化を先回りしている。
- 日本は顧客への配慮から、新しいシステムを導入する際にも古いシステムを併存させる傾向がある。それに対して、デンマークは古いシステムをバッサリ捨てて、新しいシステムに「乗り換える」。
- 最も衝撃的だったのは、2022年1月末、1日あたりの新規感染者数が最高記録を更新している最中に、デンマーク政府が欧州で初めて規制全撤廃に踏み切る発表をしたことだろう。
- プライベートの「ライフ」を犠牲にしなくても、「ワーク」で成果を出すことはできるようだ。 むしろ、デンマーク人は「ライフ」を大切にしているからこそ、フルに充電したエネルギーを使って「ワーク」に取り組めている。
- 「ライフ」のために「ワーク」をするわけだから、「ワーク」のために「ライフ」が犠牲になっては本末転倒なのだ。
- 仕事も家事育児も「夫婦の共同プロジェクト」
- 女性も、男性からは稼ぐことを期待されるし、国からは納税者になることを期待される。
- 駐在で暮らし始めたデンマークには、仕事帰りに同僚と飲みに行く習慣も、お客さんを接待する習慣もなかった。
- 「家族と一緒に夕食を食べるなんて、ささいなことに思えるかもしれません。でも、 それで本当に人生観が変わりました。」
- 働き方を決めるのは「仕事の仕方」ではなく、「人生の優先順位」
- 健康でいたい。自由を感じられる経済的ゆとりも必要だね。大切なのは、お金そのものではなくて、お金があるからこそ感じられる自由の方だ
- 最期の瞬間には、自分の人生に満足していたい。お金持ちになる必要はない。偉くなる必要もない。ただ、 満足感があればいい
- 自分にとって大切なものが何かをわかっている。大切なものを守るために、優先順位をハッキリつけて、優先順位の低いものはバッサリ切る。その切り方が 潔くて、カッコいい。
- 第一優先は家族。第二優先は仕事。三番目が娯楽や、自分がしたいこと。 この優先順位はいつも変わらない。
- だから、友達に会ったりする時間はほとんどない。 SNSも一切使わない。
- 自分の時間も、相手の時間も大切にするのが、真の「タイパ(タイムパフォーマンス)」
- 本当に大切なプライベートタイムにまで「タイパ」を持ち込んではいけないということだ。
- デンマークの人びとは「仕事の付き合い」はしない。
- 自分にも上司にも同僚にも部下にも、仕事とは別の、大切なプライベートタイムがある。その認識を前提として、お互いの暮らしを守るためのマナーをわきまえている。
- 生産性が高く、成果を出せるのは、心から仕事に喜びを感じている社員である。心から仕事に喜びを感じるためには、プライベートを犠牲にしてはいけない。
- 帰宅時間が早いから、ゆっくりランチをしている時間はない。基本、ランチタイムは 30 分である。
- 「努力」「根性」「我慢」。日本人がよく使うこういった言葉は、デンマーク人の口からは一切出てこない。
- 我慢を強いられるような環境で、プライベートを犠牲にしなければならない環境で、上司に向かって意見が言えないような環境で、仕事の生産性なんて上がるわけがない
- 自分もムリするから、みんなにもムリしてほしい。自分も我慢するから、みんなにも我慢してほしい」という下方修正の平等ではない。 そうではなく「自分もムリしないから、みんなにもムリしないでほしい。自分も我慢しないから、みんなにも我慢しないでほしい」というお互いにラクな方を向いた「上方修正の平等」なのだ。