2011年3月30日に、ワイキューブの安田社長が民事再生法を申請し、個人は自己破産されました。
オフィスの一階に、高級フレンチを思わせる豪華なワインセラー、地下の会員専用バーには専属の一流バーテンダー…。
若手ベンチャーの旗手としてメディアを騒がせ、社長自らベストセラー作家になることで脚光を浴びたワイキューブ。
2006年に刊行された、『千円札は拾うな』は33万部を超えるベストセラーになりました。
なぜ順調だったはずの同社が、ここまで落ちてしまったのかを書いた本が『私、社長ではなくなりましたby安田佳生』 です。
先回、ご紹介したように、世の中を変えるような人間は、少しADHD的な”病的な変わった?”という評価を受けるものです。
ユニクロの柳井正、楽天の三木谷浩史、ソフトバンクの孫正義らも同様です。
彼らに比べると、安田佳生という経営者は、同じ変わっているにせよ、中途半端なレベルの人間だと感じました。
ワイキューブがつぶれた理由は、名著『インザブラック』の、M:マーケティングとP:プロダクションとA:アカウンティング=会計で説明すると明快です。
ワイキューブは、マーケティングだけは上手?だったのかも知れません。
しかし、商品自体は、リクルートの物まねの粋を超えることが出来ませんでした。
そして、安田さんが、アカウンティング=会計の知識を全く持っていなかったのです。
商品自体が悪く、会計を全く理解していないのですから、つぶれるのは当たり前です。
そんな会社に、11行の銀行が40億円も貸していたのです。
これにも呆れてしまいます。
11行もの銀行が、ワイキューブの実態を読み取ることが出来なかったとは、銀行の質も落ちたものです。
最終的に、民事再生法で負債総額42億。
大口債権者は、銀行が31億、毎日コミュニケーションが約10億。
その他小口を含めると100名を超える債権者がいたようです。
債権者集会では、負債額は1億6千万まで減額されたようです。
つまり債権者は、3.8%しか受け取ることが出来ないのです。
個人のような小口の債権者なら、100万円で3万8千円しか回収できないのです。
銀行は何とかなりますが、小口債権者のことを考えたことがあるのでしょうか?
このように経営者には自身のスタッフだけでなく、取引先をも含めた責任があるのです。
ワイキューブが華やかな時には、とても眩しく思ったものでした。
医療・介護事業などは、とてもスタッフにそのような待遇をしてあげることはできません。
何やら申し訳なく思ったものでした。
正直ホッとしました。
当グループでは、派手な待遇はしてあげられません。
しかし、どんなことがあっても、つぶれない骨太な経営をして、少しずつですがスタッフに報いていければと覚悟しました。
骨太な経営の重要性の再確認になった点のみ感謝します。