うつ症状は、認知症の周辺症状としても出現します。
認知症の側頭葉機能を示すMMSE検査が15点を切ってくると周辺症状が出現してきます。
周辺症状は、幻覚や妄想と同じようにうつ症状も出現してきます。
しかし、その際のうつ症状は、通常の“元気がない”“反応が鈍い”といったうつ症状とは少し異なります。
周辺症状の場合は、身体的症状として訴えられる事が多くあります。
“頭が痛い”“お腹が痛い・気持ち悪い”“腰が痛い”“体中が痛い”と執拗に訴えます。
鎮痛剤が処方されるも効果がなく、長期服薬で胃腸症状の副作用がおきるケースもあります。
制吐剤(ナウゼリン、プリンペラン)が漠然と処方され、その副作用でさらに悪化するケースもあります。
いずれにせよ、あまりに執拗な訴えがあり、他科受診でも改善しない場合は、うつ症状を疑います。
その際も思い切って抗うつ剤を投与します。
そして1ヶ月程度で効果判定をして、効果がなければ中止する事が重要です。
私の経験ではグループホームの入居者Ⅰユニット9人のうち1-2名は周辺症状としてのうつ症状が合併しており、抗うつ剤が効果を見せています。