私は、経営においては、税務、法務、労務の優秀なプロをいかに使いこなすかが、経営者の能力であると考えています。多くの経営者は税務の関心は高いため、それなりのプロを雇用している方が多いものです。また法務についても、顧問弁護士と契約しておくことは、万が一のことを考えると必須です。しかし、経営者が最も軽んじているのが労務です。労務士と顧問契約を結んでいる中小企業がどれだけあるでしょうか?多くの経営者は“うちは労務士さんにお願いしています”と回答されます。しかし大部分は、給与計算をお願いしているだけです。給与計算以外の、顧問契約が重要です。
顧問契約を結んでから、第一に就業規則の作成が必須です。しかしこれも作るだけでは意味がありません。企業理念が反映されていて、信頼とやる気を生む内容である必要があります。もちろん年に1回は状況に合わせて修正して、企業を守る制度であることが大事です。
また新規雇用時だけでなく、全従業員に年1回の労働条件契約書を交付することも重要です。これらの管理を顧問の労務士さんにお願いするのです。当グループでは、すべての従業員の雇用・退職においては労務士さんの確認を入れています。そうすると助成金が頂けるケースもあり、顧問料以上の額になることさえあります。
幸い、医療・介護系の事業所の多くは、労務管理が拙劣です。その中で、当たりまえのことをしっかりやることは、スタッフからの信頼を得ることにつながります。結果として、長期間働いていただくことにつながります。
“スタッフが集まらない”、“スタッフがすぐに辞める”と嘆く前に、社会保険労務士さんと顧問契約を結び、盤石な労務の仕組を構築することをお勧めします。そうすると、ドラマ『ダンダリン労働基準監督官』も気楽に見ることができます。