2013年12月12日、“口から食べられなくなった患者の胃に穴をあけ、管を通じて栄養を入れる「胃ろう」について厚生労働省は11日、適切な使い方をする施設の診療報酬を手厚くする方針を決めた。胃ろうを設けるべきかをきちんと検査し、リハビリなど口から食べられるよう回復させる取り組みを促す。適切な使い方をする施設の診療報酬を手厚くする方針を決めた。”という報道がされました・
このような問題では、何か“悪”を見つけたいものです。この方針の根底にあるのは、“検査しなかったり、適切な嚥下リハビリをしない施設は間違っている”と言いたいようです。
確かに、70歳前後で脳血管障害後遺症で嚥下障害が強い場合は、嚥下リハビリも有効です。しかし、今現場で困っているのは、80歳以上の高齢者が食事を摂らなくなった際の処置です。昔であれば、少しずつ食事量が減り、老衰で亡くなっていたような患者さんです。このような方にまで胃瘻を導入しても自宅での介護は困難です。必然的に、介護施設に入らざるを得なくなります。
国内で胃ろうを設ける人は年間10万人弱。人口あたりで英国の10倍以上、70歳以上が占める割合は英国の2倍の8割と異常な数値です。漫然とつけられ、望まない延命につながっているのです。
難しいことではありません。人間は、口から食事を摂れなければ最後です。昭和30年頃では、どこの家でも当たり前に行っていたことです。だから亡くなられる方の80%は自宅で最期を迎えることができたのです。