新たなアルツハイマー型認知症治療薬3品目が発売予定です。
ノバルティス ファーマと小野薬品のリバスチグミン(商品名=エクセロン)、ヤンセンファーマと武田薬品のレミニール(商品名=ガランタミン)、第一三共のメマリー錠(成分名=メマンチン)です。
現在、国内に認知症治療薬はエーザイのアリセプトしかなく、承認されると選択肢が広がることになります。
実際に使ってみるまで厳密にはそれぞれの特徴は理解できません。
しかし、認知症専門医として、各社の社内勉強会でお話をさせていただいている内容から少し紹介させていただきます。
まずは、バルティス ファーマと小野薬品のリバスチグミン(商品名=エクセロン)です。
アルツハイマー型認知症は記憶や思考、行動に関して重要な役割を担っている脳内神経伝達物質アセチルコリンの脳内生成の減少によって発症するとされています。
リバスチグミンはアセチルコリンエステラーゼに対して阻害作用を持ちます。
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬のなかで最も吸収が早く、排泄も早い特徴を持ちます。
低分子であることを利用して、パッチ剤(貼付剤)が開発されました。
アルツハイマー型認知症治療薬では世界で唯一の経皮吸収型製剤となります。
介護者が薬剤の使用状況を容易に確認でき、服薬コンプライアンスの改善が期待でき、介護者の負担軽減につながる――ことなどがメリットとして挙げられています。
コリンエステラーゼ阻害薬は副作用として悪心や嘔吐が広く知られていますが、リバスチグミンの貼付剤は血中濃度のコントロールが容易のため、これらの副作用を軽減できるメリットもあるといわれています。
作用機序的には、従来のアリセプト比較的に似ていますが、1日1回の貼付剤である点が特徴となります。
ただし、アルツハイマー型認知症には嚥下障害の合併率が低いため、この理由による貼付剤選択は少ないと思われます。
服薬コンプライアンスから、患者さんのご家族や介助者からどの程度支持されるかがポイントと思われます。
アリセプトで消化器症状が出現した患者さんの代用に成り得れば、積極利用につながるかもしれません。