糖尿病専門外来をはじめ、多くの患者さんに管理栄養士さんの指導を受けてもらっています。そうすると、多くの患者さんが、これを食べておけば大丈夫と過剰に期待して、摂取過多になっている食材があります。
そんな中の一つが、「玄米」です。「玄米」というと、身体に良いというイメージがあります。そのため、血糖のコントロールが悪くても、玄米ならどれだけ食べても大丈夫と勘違いしてしまうのです。
実際の糖質量を比較すると、お茶碗一杯分(約150g)において、白米が53.4g、玄米が51.3gとほとんど差がありません。したがって、玄米でも食べ過ぎれば、血糖値は上がってしまいます。
但し、玄米には、白米が削り取った皮、胚芽、ぬかが含まれています。これに、ビタミン、ミネラル、植物繊維といった栄養素が含まれています。具体的には、玄米の植物繊維は白米の約6倍、ビタミンEは約12倍、マグネシウムは約5倍です。特に植物繊維が多いため、食後の血糖の上昇が緩やかになることが期待されますが、自分自身が血糖を詳細に測ったところ、血糖値スパイクがなくなることはありませんでした。それよりも、食べる量を減らすことが最も効果的でした。
もちろん、植物繊維、ビタミン、ミネラルを目的として玄米を取ることは有意義です。しかし、玄米を食べても糖質のコントロールや血糖値スパイクには過剰な期待はできません。それよりも、糖質量自体を減らすことが何よりも重要なのです。