私が出演した、ジョブチューンのぶちゃけ話で、
皆さんのあまりの驚きに
逆に驚いてしまった話があります。
それは、『風邪に抗生剤は効きません』です。
世間では、いまだに抗生剤を万能薬と思われているようです。
感染症の病原体には2種類あります。
ウイルスと細菌です。
抗生剤は、細菌感染には非常に効果があります。
肺炎や重症の細菌性髄膜炎は抗生剤での治療が必要です。
しかし、風邪の原因は、ウイルス感染です。
抗生剤はウイルス感染には全く効果はないのです。
医者の仕事は「風邪」の合併症を的確に診察し治療することです。
時に合併症を恐れる患者さんや家族から
“予防的”に抗生剤投与を求められることもあります。
ところが抗生物質の「予防効果」については、さまざまな研究で否定的な結果が出ています。
“一部の非常に限られたケースをのぞき、予防としての意味合いはない”、とするデータが多いのです。
やはり風邪に対する治療は、あくまで対処療法を基本として、
いきなり抗生剤は投与すべきではないのです。
このことについて患者さんと医者との共通の理解がなければ、
抗生剤の使用は増え続け、耐性菌も増え続けるという最悪の事態になっていくのです。
ちなみに、現場にだけは任せられなくなったのか以下の報道がされました
“政府は、2020年までに、「抗生物質」などの使用量を、3分の2に削減することを目標とすることを決めた。
抗生物質が効かない細菌は「薬剤耐性菌」と呼ばれ、抗生物質などを必要以上に服用することなどにより、体内で「薬が効かない細菌」が発生する。「薬剤耐性菌」により、世界で、すでに70万人が死亡したとされていることから、政府は、2020年までに、人が服用する「抗生物質」などの使用量を、現在の3分の2に減らすことを目標とした行動計画を策定し、来週にも閣議決定される見通し。”
これらの動きに伴って、無駄な抗生剤使用を減らしたいものです。
ある意味、ジョブチューンで取り上げた、ぶっちゃけ話も
時代の先端をいっていたのかもしれません。