私自身、食後の血糖値が急上昇する血糖値スパイクを持っているため、食事には気を付けています。医師と言っても、食事については、特別な教育を受けているわけではありません。世の中には、「あれが身体に良い」、「あれは絶対に食べてはいけない」などの情報が溢れています。そのため、一般の方と同じように「いったい何を食べればよいのか?」について迷ってしまいます。
そんな時に、UCLA助教授の津川友介氏の「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」は、多くの研究報告から、結局5つの食材に行き着くことを紹介しています。今回は、総合内科専門医の長谷川嘉哉が本当に健康に良い5つの食材を解説します。
目次
1.身体に良い5つの食材とは?
そもそも、我々が何気なく使っている「身体に良い」の定義とは何でしょうか?
少なくともTVのコマーシャルや通販番組で多用されている、「私は○○で健康を維持しています」といった個人の感想レベルに根拠はありません。
医師を中心とした研究グループが、研究対象を選択して、その食品を摂取することで、癌、心筋梗塞、脳血管障害のリスクが下がることが、統計学的に証明されたものが「身体に良い」と言えるのです。
その結果、身体に良いと明確に言えるものは以下の5つの食材になるのです。
2.魚には、必須脂肪酸が含まれる
確かに、タンパク質の摂取には肉は有効ですが、身体に良い食材として魚の摂取は必須です。魚には、肉類とは異なり、必須脂肪酸が含まれています。必須脂肪酸は、体内では合成できないため魚介類から取り入れるしかありません。必須脂肪酸の中でも特にDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)は身体に良いことが証明されています。
具体的には、DHAは、記憶力や学習効果を高める効果があり、癌の抑制作用もあるとされています。EPAは、コレステロールを下げ、血液の粘調度をさげることで血栓を予防する効果があります。
3.野菜だけでなく果物も
あえて、今回の身体に良い食品5つには、野菜と果物がセットとなっています。野菜を気にしている人は多いのですが、果物も意識して摂取する必要があるのです。野菜には、ビタミンやミネラル、植物繊維が含まれるだけでなく、カリウムが余分なナトリウムを排泄することで高血圧の予防になります。同様に、果物もビタミン、ミネラル、食物繊維が含まれますが、野菜以上に摂取できるのがフィトケミカルです。フィトケミカルとは、野菜や果物の色素や辛み、香りの成分です。強い抗酸化作用を持ち、体内で発生した活性酸素を取り除きます。果物は野菜よりもカラフルなものが多いため、さまざまな抗酸化成分を取り入れることができるのです。
4.炭水化物なら茶色いものを
糖尿病の患者数及び予備軍で2000万人に上る現代社会においては、炭水化物の摂取は控えめにすべきと考えられています。しかし、玄米、全粒粉、蕎麦のように精製されていない、茶色い炭水化物は「健康に良い炭水化物」なので摂取すべきです。一方で同じ炭水化物でも、精製されている白い炭水化物、白米、小麦粉、うどんなどは「健康に悪い炭水化物」なので避ける必要があるのです。
5.単体で素晴らしいオリーブオイル
ご紹介したように、魚、野菜・果物、茶色い炭水化物といった広いカテゴリーと並んで、オリーブオイル単体で身体に良いことが証明されているのです。
オリーブオイルが身体に良い理由は、オレイン酸が多く含まれていることが要因です。オレイン酸は、悪玉コレステロールを減らし動脈硬化や高血圧などの生活習慣病を予防します。糖の吸収を緩やかにすることで糖尿病や食後高血糖にも効果があります。また、オリーブオイルには、強い抗酸化作用があるビタミンEも豊富に含まれています。その他、オレイン酸が大腸内で潤滑油の働きをすることで便秘も改善します。オリーブオイルの効果については、以下の記事も参考になさってください。
6.優秀な脂質がとれるナッツ類
ナッツは、健康的な脂質を多く含む食品です。不飽和脂肪酸、カルシウム、カリウム、マグネシウム、食物繊維などの栄養素が豊富に含まれています。これらの栄養素やフィトケミカルが善玉コレステロールと悪玉コレステロールのバランスを改善します。同時に、血管や細胞を傷つけ、動脈硬化などを引き起こす活性酸素を抑える抗酸化作用も認められています。
小腹がすいた時には、糖分でなく、ナッツ類を摂取する習慣を持ちたいものです。
7.まとめ
- 健康に良い食材とは、「癌、心筋梗塞、脳血管障害のリスクが下がること」が統計学的に証明されたものを言います。
- それらを満たす食材は、魚、野菜・果物、茶色い炭水化物、オリーブオイル、ナッツ類の5種類になります。
- これら5種を、気にしながら摂取することがお薦めです。