歯医者さん、片麻痺になっても働けますか?

歯医者さん、片麻痺になっても働けますか?
2020-04-02

最近では、脳血管障害(=脳梗塞や脳出血)になっても命を落とす方は減っています。しかし、逆に救命されることで、後遺症として片麻痺を残す方が増えています。そんな片麻痺状態になってしまうと、細かい技術を要するような仕事、特に歯科医などでは仕事ができなくなることが多いのです。「そんな時のために生命保険に加入している」と思っていらっしゃるの方も多いのではないでしょうか?

実は、殆どの生命保険は脳血管障害による片麻痺には対応できていません。今回の記事では、ファイナンシャルプランナー資格を持つ脳神経内科専門医の長谷川嘉哉が、歯科医の先生こそが将来起こりうる状態に対応すべき理由と対応方法をご紹介します。

1.片麻痺は社会的死とは

歯科医の先生が、脳血管障害で命は助かっても、右手の麻痺、左手の麻痺のいずれでも残れば、診療に支障をきたします。何より患者側からすれば、わずかの麻痺であっても、運動障害をもった歯科医の先生に治療してもらうことは避けたいものです。

つまり、歯科医の先生が片麻痺を残すことは、社会的な死を意味するのです。命は助かってもそれまでの仕事ができなくなるという意味です。ちなみに、医師の場合は手術等がなければ片麻痺を残しても診療をすることは可能です。

2.片麻痺は生命保険の高度障害にならない

多くの歯科医の先生は、「片麻痺になれば加入している生命保険から高度障害として保険金が支給される」と誤解されている方が多くいらっしゃいます。しかし現実は違います。

2-1.片麻痺は高度障害ではない

片麻痺は高度障害ではありません。これはすべての保険の基準で明確にされています。逆に言うと、脳血管障害による片麻痺を高度障害にすると、その数が莫大になるためにあえて、外していると考えられます。なお、高度障害についての詳細は、以下の記事も参照になさってください。

2-2.片麻痺では住宅ローンも免除されない

住宅ローン免除の基準は、民間保険と同様です。したがって高度障害の基準をみたせば住宅ローンも免除されます。そのため、高度障害でない片麻痺になっても住宅ローンは残るのです。

2-3.片麻痺は事業用の借り入れも免除されない

事業用の借り入れは、そもそも高度障害でも免除されません。したがって、片麻痺になっても事業用の借り入れは残るのです。

つまり、歯科医の先生が片麻痺になることは、社会的な死として仕事はできなくなります。その上で、生命保険の高度障害にもならず、住宅ローンも事業用借り入れも残るのです。これは、想像するだけでも怖くありませんか?


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3.保険販売員も理解していない

私は、保険営業マン1万人に対して、講演を行ってきました。その中で、高度障害の基準については、かなり時間をかけて説明します。そうすると講演後に、「高度障害についてよく理解ができました」、「まったく高度障害を理解ていませんでした」、「高度障害を意識して保険商品を提案したことがありませんでした」といった言葉をたくさんいただきます。

つまり、多くの保険販売員は、「片麻痺が高度障害でない」ことを知らずに販売しているのです。

4.歯科医が加入すべき保険①・・ソニー生命

そんな歯科医の先生方が加入すべき代表的な保険が、ソニー生命の生前給付保険です。ソニー生命の生前給付終身保険および生前給付定期保険は、「介護保険の要介護2以上と高度障害、死亡に加え身体障害者手帳1~3級」で保険金が支払われます。高度障害の適応にならない片麻痺は、身体障害者2級相当になるため、死亡保険と同等の金額が支払われます。

5.歯科医が加入すべき保険②・・富士生命

ソニー生命の保険は確かにお勧めですが、掛け金が高いことが難点です。そんな方には、掛け捨てになりますが富士生命の収入保障保険がお勧めです。

この保険は、身体障害者福祉法の1~4級で、年金支払期間満了まで年金が払われます。身体障害者手帳は1級が重く、4級が軽いのですが、4級までカバーされているのは凄いです。通常、完全片麻痺で1級、不全片麻痺であれば2級、体幹失調で100m歩けなければ3級が認定されますので、脳血管障害の後遺症は十分に保障されます。さらに人工肛門か人工膀胱、どちらか一方のストマがあれば、身体障害者手帳の等級は4級が認定されます。大腸癌や膀胱癌の後遺症の4級の方も網羅される点は、超超超お勧めです。

6.まとめ

  • 歯科医の先生が片麻痺になることは、診療ができなくなるため社会的な死となります。
  • 脳血管障害による片麻痺は、保険会社の基準による高度障害にはなりません。
  • したがって、歯科医の先生が片麻痺なると、働けなくても、生命保険の給付は受けられず、住宅ローンも事業用の借り入れも残ってしまうのです。
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