最近、患者さんの血液検査をすると老若男女、タンパク質が足りていません。その結果、体調不良を訴えている患者さんが本当に多いのです。「タンパク質が足りていませんよ」と指摘すると、皆さん怪訝そうな顔をされます。しかし、詳しく聞くと「朝食を抜いている」、「朝食はパンとコーヒー」、「昼食は麺類が中心」など、明らかにタンパク質の摂取不足のケースが多いのです。これでは低タンパクにならないほうがおかしいのです。今回の記事では、タンパク質の重要性と、摂取方法について解説します。
目次
1.タンパク質とは?
タンパク質は、人間の身体の重要な構成成分です。食事から摂取したタンパク質がアミノ酸に分解されて吸収されることで、内臓・骨・筋肉・皮膚・毛髪・脳・血管をつくる材料になります。その他にも、ホルモン、酵素、免疫物資になり様々な働きをします。ときに、エネルギー源としても使われます。そのため、身体の機能が正常に働くためにはタンパク質の摂取が必要不可欠です。必要なタンパク質量は、身体に必要なアミノ酸の種類と量によって決まり、体重に見合った量を毎日摂ることが必要です
2.1日に必要なタンパク量は?
1日に摂取したいタンパク量は18~64歳では男性65g、女性50gが推奨量です。推奨量とは、健康な人を中心として構成される集団の中で、大部分の人が不足しない量を示しています。
牛肉の100g当たりのタンパク質は約17gとされています。一食で摂取しようとすると男性では400g近くを食べる必要があります。やはり毎日一定量のタンパク質を摂取するためにはタンパク質推奨量を3食分に分ける必要があります。多少の上下はありますが、男女とも1食あたり約20gを目安にすることが望まれます。
3.朝食を抜いたらほぼ不可能?
朝食を抜いたり、パンとコーヒーではタンパク質の摂取量はほぼゼロです。この時点で、残りの2食で1日量を補うことはほぼ不可能です。私自身は、「朝食に糖質はいらない」という考えですが、タンパク質と繊維とビタミンの補充のための朝食は必要と考えています。朝は大変かもしれませんが、以下を組み合わせてはいかがでしょうか?朝に食べやすい食材のタンパク質量をご紹介します。
- 牛乳:200㎖で8g
- 豆乳:200㎖で8g
- ヨーグルト:100㎖で3g
- 納豆:一パック5g
- 卵一個:6g・・卵は1個で1日の推奨量の1割が取れる優れものです。
- 6つ切りのチーズ一つ:5g
- ウインナーソーセージ(1本)1本:3g
*牛乳を200㎖飲んで、目玉焼きを焼いて、ソーセージを2本とチーズを食べればタンパク質量は25gと一食としては十分になります。
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4.昼食もタンパクは摂取しにくい
朝食もですが、昼食もタンパク質量は摂取しにくいものです。麺類になると摂取が難しくなります。うどん、そば、ラーメンも麵自体では1食分で10gもタンパク質は取れません。そこで、卵を加えたり、鶏肉を加えたり、豆腐類を加える工夫が必要です。自分は、クリニックでお弁当を取っているのですが、野菜・煮物が中心で飽きのこない良いメニューなのですが、見るからにタンパク質が少なめです。そこで毎日、納豆を1パック追加することで調整しています。何しろ納豆1パックで7.5gのタンパク質量は魅力的です。
5.夕食こそ、バランス良くタンパクを摂取しよう
1日のメインになる夕食こそは、きちんと摂取しましょう。もちろん魚とお肉で摂取が基本になりますが、これだけでは偏ってしまいます。やはり日本人ならではの大豆系で補うことが大事です。代表的な食材のタンパク質量をご紹介します。
- 肉:100gで約20g
- 魚:種類によりますが、100gで約20gです
- 豆腐一丁:100g当たり5g
やはり、魚、肉、大豆系を組み合わせるとタンパク質がしっかりとれるようです。ただし、夕食ですべて補おうとすると無理がありますので、1日3食にわけて1日にタンパク質推奨量を摂取することがお薦めです。
6.タンパク質摂取の際の注意
タンパク質の摂取も重要ですが以下も注意が必要です。
6-1.腸内細菌叢の乱れに注意
タンパク質だけ摂取すると、腸内細菌叢が乱れがちになります。野菜など繊維の多いものを一緒に摂取する必要があります。
6-2.ビタミン類も大事
せっかくのタンパク質を有効に利用するには、ビタミン類が必須です。特にビタミンB群の摂取を心がけましょう。ちなみにビタミンB群は、赤身の魚や、ヒレ肉やささみなどの脂が少ない肉類に多く含まれています。 植物性の食品では、バナナやパプリカ、さつまいも、玄米などにも比較的多く含まれています。
6-3.総カロリーに注意
タンパク質の摂取だけを考えると摂取カロリーが多くなりがちです。とくに肉類だけで摂取しようとするとオーバーカロリーになりがちです。やはり、肉以外の魚、大豆類、乳製品からもバランスよく摂取する必要があります。
7.プロテインも補助的に
時間的にも、生活習慣的にもどうしても十分なたんぱく質が摂取できない場合は、プロテインもお薦めです。ただし、これですべてを摂取するのではなく不足分を補う程度、具体的には1日1食がお薦めです。
8.まとめ
- 1日のタンパク質の推奨量は、男性65g、女性50gですが殆どの方が足りていません。
- 推奨量の摂取のためには、1日3食取って、1食当たり20gのタンパク質摂取が必要です。
- 肉だけでなく魚、大豆類、乳製品からもバランスよく摂取することが理想です。