身体に悪い?トランス脂肪酸って?摂取を控える理由を専門医が解説

身体に悪い?トランス脂肪酸って?摂取を控える理由を専門医が解説

生活の中で、食事をするなら身体に良いものを摂取したいものです。それだけでなく、身体に悪いものはできるだけ避けたいものです。三大栄養素の中で、脂質は適切に摂取する必要がありますが、その中に、取って良い脂質と、摂取を控えたい脂質があります。摂取を控えたい脂質の代表として、トランス脂肪酸があります。トランス脂肪酸は、世界的には使用に規制がなされていますが、日本では規制をされていません。そのため、日本人である我々は、自らの体を守るためにトランス脂肪酸について知っておくことが大事です。今回の記事では、身体に悪いトランス脂肪酸を避けて、正しい脂肪酸を取る方法を総合内科専門医の長谷川嘉哉が解説します。

目次

1.トランス脂肪酸とは?

トランス脂肪酸の「脂肪酸」とは、油脂を構成する一部です。脂肪酸には、動物性脂肪に含まれる飽和脂肪酸と、植物油に含まれる不飽和脂肪酸があります。飽和脂肪酸は、酸化に強く、常温で個体です。一方で不飽和脂肪酸は、酸化に弱く、常温で液体です。

トランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸ですが常温では固体になります。トランス脂肪酸は、天然にはあまり存在せず、油脂を加工する際に生じる不自然な脂肪酸であるため、問題となっているのです。

2.トランス脂肪酸はなぜ身体に悪い

トランス脂肪酸には、健康に悪いという多くの報告がされています。

2-1.動脈硬化と虚血性心疾患のリスク

トランス脂肪酸は、悪玉コレステロールであるLDLコレステロールを増加させ、善玉コレステロールであるHDLコレステロールを減少させます。結果として、動脈硬化性変化が進行し、虚血性心疾患のリスクを高めます。実際に、トランス脂肪酸の摂取と虚血性心疾患には、相関関係があります。

2-2.メタボリックシンドロームの危険

トランス脂肪酸の摂取量が多い人ほど、腹囲が大きく、中性脂肪や血糖値が高くなる傾向があることが分かっています。

2-3.認知症のリスクも高くなる

トランス脂肪酸を多く含む食事は認知症リスクをも上昇させます。九州大学衛生・公衆衛生学の報告では、血液中のトランス脂肪酸濃度が高い人では低い人に比べて、後年に認知症を発症する率が5075%高かったことが明らかになっています。

3.海外ではトランス脂肪酸の使用には制限が

欧米では、トランス脂肪酸が規制されています。米国では2006年1月から栄養表示のラベルにトランス脂肪酸の表示が義務付けられています。韓国も2007年12月から、トランス脂肪酸が表示の対象となっています。

トランス脂肪酸を含有する食品の規制では、デンマークが2004年から加工食品に使われる油脂中のトランス脂肪酸含有率を2%以下に制限。FAO/WHO食事・栄養及び慢性疾病予防に関する合同専門家会合(2002年開催)や米国のFDA(食品医薬品局)は、食事中のトランス脂肪酸をエネルギーの1%以下にするよう勧告しています。


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日本では、現在までのところトランス脂肪酸の含有量規制や表示の義務はありませんが、世界保健機関(WHO)は2023年までにトランス脂肪酸を全世界から排除することを呼び掛けています。

Zero Trans Fat
米国を含む諸外国ではトランス脂肪酸の量について表記する必要があります

4.トランス脂肪酸を多く含む食べ物は?

トランス脂肪酸は、マーガリン、食用調合油、ショートニング(植物油を原料としたクリーム状の製菓・調理用油脂)、バター、マヨネーズに含まれています。

具体的には、ケーキなどのペイストリーズ(穀粉、バター、ショートニング、ベーキングパウダーまたは卵等の材料を焼いて作った食べ物)、ビスケット、スナック菓子、米菓子、チョコレート、菓子パン、アイスクリームに含まれています。

つまり、間食やデザート類にはほとんど含まれているのです。

5.正しい、脂肪酸を摂取しよう

注意していただきたいのは、トランス脂肪酸が身体に悪いからと言って、脂質自体を過剰に制限してはいけません。脂質自体は、炭水化物、たんぱく質、ビタミン、ミネラルと並んで、必須の栄養素です。特に、炭水化物に偏らない食事を摂るには、適切に脂肪を摂ることが大事です。

その際には、身体に良いと言われる、脂肪酸の摂取を心掛けることが大事です。特に、植物油に含まれる不飽和脂肪酸は、動脈硬化を抑え、心疾患などの予防につながります。植物油の中でも、オリーブオイルの効果については以下の記事も参考になさってください。

6.まとめ

  • トランス脂肪酸は、虚血性心疾患、メタボリック症候群だけでなく、認知症の危険因子にもなります。
  • 間食やデザートの類に、多く含まれているので過剰な摂取には注意が必要です。
  • むやみに、脂質の摂取を控えるのではなく、身体に良い脂質の摂取を心掛けましょう。
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