総合内科専門医が断言!納豆で寿命が延びる7つの理由

総合内科専門医が断言!納豆で寿命が延びる7つの理由

外来をやっていると、「先生、何か身体によい食べ物はありませんか?」と聞かれることがあります。一種類の食品を取ることで健康になるような食べ物はなかなかありません。そんな中で、その答えになるような食品があります。それは「納豆」です。今回、国立がん研究センターが1990年から15年間、9万人に対して行った調査で、納豆の効果が示されました。

その結果は、脳血管障害を主に診察する脳神経内科専門医としても十分納得がいく結果でした。今回の記事では納豆の効果について、総合内科専門医の立場からご紹介します。

1.国立がん研究センターの研究内容

国立がん研究センターの発表内容をご紹介します。

“全国10都府県の男女、あわせておよそ9万人に食事に関するアンケートを実施した。納豆、みそ、豆腐などの摂取量と死亡リスクとの関連を、およそ15年間追跡調査した。その結果、納豆やみそなどの発酵性大豆食品を最も多くとるグループは、最も少ないグループと比べ、男女ともに死亡リスクがおよそ10%低いことが判明した。中でも注目は、納豆。納豆を毎日、半パックから1パック程度食べるグループは、ほとんど食べないグループと比べ、男女ともに脳卒中や心筋梗塞などの「循環器疾患」による死亡リスクが、およそ20%低いことが明らかになった。(出典:FNN PRIME)”

Closeup of hand holding chopsticks, mixing Asian Japanese natto fermented soy dish meal, sticky, slimy texture in styrofoam container box
一般的な四角いパックに40~45gの納豆が入っています

2.納豆の循環器系への効果

人間の身体中に血管は張り巡らされています。そのため、「老いは血管から」という言葉もあるほどです。

2-1.脂質代謝異常を改善

動脈硬化は、コレステロールや中性脂肪といった脂質の上昇が一因です。納豆に含まれるレシチンは悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす働きがあります。さらに、納豆に含まれるリノール酸やリノレン酸は血管を強く、しなやかにする効果もあるのです。

2-2.糖尿病を予防

現在、日本には、糖尿病・糖尿病疑いの方が、1000万人以上いるといわれています。私の外来でも本当に多くの糖尿病患者さんがいらっしゃいます。実は納豆は、糖尿病を予防する効果もあるのです。糖尿病は、血糖値が急激に上昇したり、低下することが繰り返されることで発症します。納豆には、植物繊維やビタミンB2が含まれており、食後の血糖値の上昇を抑えるのです。実際、食後血糖を抑える薬もありますが、納豆で代用することもできるのです。また、先ほどご紹介したレシチンは血糖を下げるインスリンの分泌も刺激するのです。

2-3.血栓を溶かして脳梗塞・心筋梗塞を予防

脳梗塞や心筋梗塞は、血管に血の塊である血栓が詰まることで発症します。納豆に含まれる、ナットウキナーゼは、その血栓を溶かす働きがあるのです。岐阜大学の永田教授の研究では、以下の結果が「American Journal of Clinical Nutrition」で発表されました。

岐阜県高山市で約3万人の住人を対象に、食生活についてアンケート調査を実施。16年間にわたって追跡調査を行った結果、納豆の摂取量が多いグループは、少ないグループに比べて循環器の疾患による死亡率が低いことが分かった。なかでも脳血管障害、とくに脳梗塞による死亡のリスクが3割も低くなった(出典:週刊現代)”

3.骨折を予防する効果も

納豆の凄いところは、血管に対する効果だけではありません。骨折を予防する効果もあるのです。納豆にはビタミンK2が含まれており、骨の形成を促進して骨粗鬆症を予防します。実際、骨粗鬆症の治療ではビタミンK2製剤として「グラケー」という薬が使用されています。

骨折を機に、認知症を発症したり、寝たきりになる患者さんが多いものです。納豆の骨粗鬆症予防効果で、骨折をするリスクを減らしましょう。

4.腸内細菌を整える

納豆は、腸内細菌も整えます。腸内細菌を育むには、プロバイオティクスとプレバイオティクスの考えが重要です。腸内細菌自体であるプロバイオティクスと、細菌の餌になるプレバイオティクスも同時に摂取する必要があるのです。

納豆自体が発酵食品ですから、プロバイオティクスに分類されます。さらに納豆は、細菌の餌である水溶性食物繊維を多く含むプレバイオティクスでもあるのです。

つまり納豆を食べるだけで、腸内細菌が整えられ、便通が良くなり、アレルギー疾患も改善、免疫力も高まるのです。


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5.認知症予防にも

ご紹介した納豆の効果は、認知症をも予防します。

5-1.血管性認知症を予防する

認知症の、一つの原因に血管性認知症があります。血管性認知症は、脳血管障害を発症した後に認知機能が低下するものです。したがって、脳血管障害を予防することで、血管性認知症を予防することができるのです。

5-2.アルツハイマー型認知症を予防する

国立長寿医療研究センターの研究では、「腸内の状態がアルツハイマー型認知症に強く関連がある」と報告しています。認知症の人は腸内の「バクテロイデス」という細菌が少なく、認知症でない人は多い傾向があったのです。納豆を食べることで、腸内細菌を整えるとアルツハイマー型認知症を予防する効果も期待できるのです。詳しくは以下の記事も参照なさってください。

6.摂取方法

Senior man eating natto at dinner
血栓予防効果を期待するには夕食時の摂取がいいようです

ご紹介した情報を知ると納豆を食べたくなりませんか?摂取方法は以下に注意して摂取してください。

6-1.1日1パックで十分

多くの研究データは、1日30g。つまり1パック相当の摂取で十分効果が出ています。それ以上に摂取しても問題はありません。ただし、たくさん食べればそれだけ効果が出るわけではありません。常識の範囲内でお願いします。

6-2.夜がお勧め

ナットウキナーゼは食後4時間で活性が最大になります。そのため、血栓を予防する目的であれば、夕食後に食べることがお勧めです。ただし、納豆には血栓予防以外の多くの効果があります。その点を考えると、朝食後の摂取でも十分効果はあります。

6-3.加熱しすぎない

ナットウキナーゼは50度以上で活性が低下、70度以上で死滅してしまいます。料理で火を通したり、あまり熱いご飯に乗せることは避けましょう。

7.納豆を食べていけないのはワーファリンだけ

「血液をサラサラにする薬を飲んでいるので、納豆を食べられない」と言われる患者さんがいらっしゃいます。しかし、血液をサラサラにする薬にも様々な種類があります。

7-1.抗血小板薬は大丈夫

抗血小板薬とは、血小板の凝集を阻害することで、血栓を作らないようにする作用を持つ薬剤です。虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)、脳梗塞後遺症、下肢動脈閉塞、心臓弁膜症術後などに使われます。具体的には、バイアスピリン、パナルジン、プラビックス、プレタールなどです。これらの薬を服用していても納豆を食べることは可能です。

7-2.ワーファリン以外の抗凝固薬もある

抗凝固剤はフィブリンの形成を阻止して、血栓を作らないようにする作用を持つ薬剤です。心房細動、深部静脈血栓症、肺塞栓、脳塞栓の患者さんに使用します。抗凝固剤は最近多くの薬が発売されています。具体的には、エリキュース、プラザキサ、イグザレルト、リクシアナです。これらの薬を服用していても納豆を食べることは可能です。

7-3.ワーファリンの変更ができないか相談を

抗凝固剤というと、昔はワーファリンしかありませんでした。ワーファリンは、作用機序的に納豆や青汁が禁忌になります。それ以外にも、コントロールのチェック目的で頻回な採血も必要です。ワーファリンを服用している患者さんは、一度主治医に相談して、同じ抗凝固剤でも、前項で紹介した薬に変更できないか相談してみください。多くのケースは、変更は問題ないと思われます。そうすると、これだけメリットの多い納豆を食べることができるようになるのです。

8.まとめ

  • 納豆の摂取が、死亡リスクを減らすことが明らかになりました。
  • 納豆の効果は、循環器疾患だけでなく、骨粗鬆症を予防し、腸内細菌を整え、認知症も予防します。
  • 血液サラサラの薬の服用でも納豆が食べられないのはワーファリンだけです。ワーファリンを服用している患者さんは、主治医に最近の薬への変更を相談してみてください。
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