在宅や施設での死亡確認の判断について在宅医療専門医が解説

在宅や施設での死亡確認の判断について在宅医療専門医が解説

先日、加齢変化により食事もとれなくなったグループホームに入所中の患者さんがいらっしゃいました。ご家族も、施設による看取りを希望されたので、積極的治療をせずに経過観察していました。いよいよ全身状態も悪化し、いつ亡くなってもおかしくない状況になりました。そしてついに、私のもとへグループホームから、「亡くなったと思うので来てほしいとの連絡」。しかし、訪問看護婦が先に到着すると、僅かながら呼吸をしていました。結果的には、その3時間後に本当にお亡くなりましましたが、慣れていない一般の方や、介護職の方にとっては、人の死を判断することは難しいものです。今回の記事では、1000人以上の看取りを経験している、在宅医である長谷川嘉哉が死亡の判断について解説します。

目次

1.死亡確認3つの条件とは

死亡確認は以下の3つの兆候を確認することで判断します。

1-1.呼吸停止

呼吸が停止していることを確認します。医師の場合は、聴診器で呼吸をしていないことを確認します。

1-2.心停止

心臓の拍動が停止していることを確認します。病院の場合は、心電図モニターが付いているため、拍動の停止が一目でわかります。在宅や施設の場合は、橈骨動脈(手関節内側の皮膚に近いところを走る動脈)や頸動脈の触診をしたり、聴診器で心臓の音を確認します。

1-3.脳機能の停止

心呼吸停止だけでなく、脳の機能の停止を確認する必要があります。この場合は、瞳孔及び、瞳孔に光を当てて対抗反応を確認します。左右の瞳孔が、完全に散大して、瞳孔に光を当てても瞳孔の長径に変化が起こらなければ脳の機能が停止したと判断します。

2.一般の人や介護者は迷う?

当院では在宅でも600人以上の看取りを経験しています。そして、殆どのケースはご家族や施設の介護者からの連絡で、医師・看護婦が駆けつけます。今回の件で、ご家族は連絡するまで「とても迷われていたのだと」と改めて感じました。

医師は、死亡確認の経験がありますが多くの方は初めての経験です。その際に、「本当に呼吸をしていないのか?」、「心臓の動きは停止しているのか?」と相当に迷われるのだと思います。

3.心呼吸停止の判断には

そのため、以下の点に気を付けられることをお薦めします。


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3-1.呼吸停止している?

人間の終末期になると呼吸がとても浅くなります。そのため、「止まっている?」と感じてしまうこともあります。そんな時は、口元に耳を近づけて呼吸の有無を確認するとわかりやすくなります。

3-2.心臓が停止している?

これは脈をとることでわかるのですが、橈骨動脈では、血管が細いため、終末期で拍動が弱くなるととても分かりにくなります。そうなると、自分の脈を拾ってしまって何が何だか分からなくなってしまいます。そのため、首の左右を走る頸動脈を触れてみることをお薦めします。

3-3.酸素飽和度測定器がお勧め

口元に耳を当てても、頸動脈を触ってみても、呼吸の有無、心拍動の有無に迷うこともあります。そんな時には、パルスオキシメーター(酸素飽和度測定器)がお薦めです。これで心拍動も呼吸の有無もある程度わかります。酸素飽和度が取れている状態では、絶対に死亡していることはありません。一家に一台、施設に一台をお勧めします。

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4.脳機能の停止は?

心呼吸停止だけでは、死亡の判断はできません。さすがに、最終的な死亡の判断は医師が行うことになります。正直なところ、患者さんが亡くなった直後では、瞳孔が完全に散大していないこともあります。しかし、完全に散大することを待っていると場が持たないため、通常はそのまま死亡宣告をします。

もちろん脳死判定などの場合は、瞳孔が完全に散大していない状態では脳死とは判断されません。

5.まとめ

  • 人間の死に立ち会った、家族や施設の介護者は死の判断に迷うものです。
  • まずは、口元に耳を近づけたり、首の動脈を触れることで心停止・呼吸停止を確認します。
  • パルスオキシメーター(酸素飽和度測定器)による測定も一助になります。
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