葛根湯・医師長谷川が自信をもってお勧めする漢方薬の効果と使い方

葛根湯・医師長谷川が自信をもってお勧めする漢方薬の効果と使い方

風邪がはやっていますね。外来では西洋医療を基にした総合感冒薬が処方され、ドラッグストアでもいろいろな製品を見比べて購入されているかと思われます。

実は、総合感冒薬は風邪そのものを治療するのではなく、風邪の今ある症状(熱、喉の痛み、せき、鼻水等)を和らげる効果しかありません。いろいろな人の様々な風邪の症状にマッチするようにあらゆる成分が加えられています。症状の緩和には効果があるようですが、不要な成分まで摂ってしまっている可能性もあります。風邪の根本的治療には休養と栄養が最も効果的なのです。(詳しくは別記事:風邪で病院に来るな!医師が伝える感冒薬の意味とおすすめ自宅治療法をご一読ください)

さて、風邪のシーズンになると患者さんからよく言われることがあります。「先生は、毎日風邪の患者さんを診ているのに何故風邪をひかないのですか?」、時には「先生方は、医師だけが飲む特別な風邪薬があるのですか?」とまで聞かれることがあります。開業初年度はよく引きましたが、感染しまくると抗体ができるのかもしれません。

しかし調子が悪い時はあります。風邪を引いたかな、と思った時によく使っているのが漢方の葛根湯です。今回の記事では、総合内科専門医の長谷川嘉哉が葛根湯についてご紹介します。ぜひ多くの方にも葛根湯の恩恵を受けてもらいたいものです。

目次

1.葛根湯の効果効能

風邪の薬としてよく用いられる「葛根湯」は昔からなじみの深い漢方薬のひとつです。以下のような効果効能があります。

1-1.風邪の引き初めに有効

風邪の初期などの頭痛、発熱、首の後ろのこわばり、寒気がするが汗は出ないといった場合に有効です。葛根湯は発汗を促すことで熱を下げ、かぜを治そうとします。最近の西洋医学的な基礎研究でも、抗炎症作用などが確かめられています。基本的には急性期に用いる薬で、使うのは発病後1~2日が目安です。ちょっと調子が悪いな、このままでは風邪を引くな、という時に使うと効果的なのです。

そのため、37.5度以上の発熱や、のどの痛みや咳がひどくなってきた場合は、葛根湯だけでは不十分です。医療機関で適切な診察後、別の処方を受けましょう。

1-2.慢性頭痛や肩こりにも用いられる

発熱がなくても、後頭部や背中が緊張しているようなときに用いられます。慢性頭痛、なかでも緊張型頭痛や、肩こりの治療でもよく処方される薬です。葛根湯は体を温める効果があり、このおかげで筋肉の緊張を和らげるのです。

Headache
頭痛(緊張性頭痛)や肩こりの際にも葛根湯は重宝します

2.成分

葛根湯の名称どおり、クズの根(葛根)が主成分となっています。昔から風邪を引いた時、クズ湯やショウガ湯などを飲んで体を温めたように、生薬の根にはよい効果があるものがあります。

この他にショウガの根(生姜)、シナモン(肉桂・桂皮)、ナツメ(大棗)、マオウ (麻黄)、シャクヤク (芍薬)、カンゾウ (甘草)、といった生薬が調合されています。クズやショウガの根が全身を温めると同時に、7種類の植物生薬が持つ相互作用によって、血行を良くし、発汗を促すとともに、分泌機能や代謝機能を高め、老廃物を取り除いてくれるといわれています。これらの生薬のコンビネーションの妙が葛根湯の素晴らしさと思われます。

Fragrant cinnamon sticks
桂皮(シナモン)。クズやショウガ、ナツメなど葛根湯には体を温める生薬が多く含まれています

3.昔からよく使われていた

葛根湯は適応範囲が広く、よく効く薬だったため江戸時代には「葛根湯医者」などという言葉や落語噺も生まれました。頭が痛いといっては葛根湯、腹が痛いといっても葛根湯、診察を待っている付添い人にも葛根湯、このようにどんな人にも葛根湯ばかりを処方する医者もいたかもしれません。

葛根湯医者という言葉には、いろいろな解釈があります。以下のように多くの意味合いをもって使われているようです。

(1)葛根湯のようにどんな病気でも治してしまう名医。

(2)どんな疾患にも葛根湯を処方して誤魔化してしまう医者。

(3)いつも葛根湯を服用して仕事をしている不養生な医者。

4.長谷川家での使い方

あまり葛根湯をアピールすると、「葛根湯医者」といわれるかもしれませんが、私は大好きな薬です。

4-1.常に欠かしたことがない

自分は、「喉がおかしい」「少し寒気がある」「鼻水がでる」といった軽い段階で葛根湯を服用します。そうすると、1、2回の服薬ですっかり症状は改善します。そのため我が家にはいつも葛根湯が常備されています。子供たちもそれぞれが、適宜服用しているため結構な頻度で消費しています。お陰で医療機関に受診することなく治癒しているようです。


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4-2.体を温めると風邪を引かない

風邪をひきやすいのは、「寒いとき」が多いものです。「風邪」とは漢方用語。寒いときにひく風邪の正式名称は「風寒の邪(ふうかんのじゃ)」と言います。邪とは外側から攻撃してくる敵のこと。つまり「風寒の邪」とは、「寒い敵が攻めて来る」ということです。つまり、葛根湯は体を温めることで風邪を撃退するのです。

以下の記事で、身体を温めるメリットを紹介していますので参考にしてみてください。

5.効果的な飲み方

漢方薬は服薬方法に少し注意が必要です。葛根湯は、お湯に溶いて飲んでください。このほうが体を温め、寒気を取ってくれると感じています。。用法・用量は「通常、成人1日7.5gを2-3回に分割し、食前又は食間に服薬」とあります。ちなみに、食前服用とは食事の30分前、食間服用とは食後2時間以上経ってから次の食事の間とされています。

6.副作用は

葛根湯は殆ど副作用はありません。但し、人によっては、胃の不快感や食欲不振、吐き気などを訴えます。また、動悸や不眠、発汗過多などもまれにみられます。症状が強い場合は、服薬を中止しましょう。大部分は、中止することで自然に改善します。

添付文書には、「偽アルドステロン症」といって、配合生薬の甘草の大量服用により、浮腫を生じたり血圧が上がってくることが記載されています。しかし、葛根湯は、長期服用することはありませんので、殆ど心配ありません。

7.葛根湯が合う人

実は漢方薬は、それぞれの処方によって合う人と合わない人があります。

通常漢方では証(しょう)といい、体力や抵抗力が充実している人を「実証(じっしょう)」、体力がなく、弱々しい感じの人を「虚証(きょしょう)」と分類しています。葛根湯は、基本的には体力がある「実証」の人に向く薬です。

そのため、あまり虚弱な状態での処方は控えています。逆に、体力があって元気な患者さんには、本当に葛根湯が効果があるようです。患者さんによっては、風邪も、肩こりも、頭痛も、不眠もすべて葛根湯が効くという方もいます。まさに、私自身が「葛根湯医者」になってしまっています。

8.処方薬と市販薬の違いとは

同じ葛根湯でも、健康保険適用の漢方薬は医師の診察により選択されるのに対し、薬局で売っている漢方薬は、患者さんの自由な選択で服用可能となっています。

そのため、内容成分は同じですが、量が少なくなっているものがあるようです。市販の葛根湯に含まれる生薬成分は、医療用の成分の2/3、3/4になっているものがあります。

一方、医療用とまったく量の生薬を使っているものもあります。これを、「満量処方」というそうです。少しでも風邪を早く治したい場合は、市販で購入するなら「満量処方」がお勧めです。(販売価格は、満量処方のほうが高いことが多いようです。)

私のおすすめは、例えば以下のようなものです。満量処方で1日2回の優れものです。風邪が本格的に悪化する前にぜひお試しください。Amazonの広告にてご紹介します。

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9.高齢者・認知症患者さんでも使える

高齢者や認知症患者さんへの風邪薬の処方は注意が必要です。特に軽い風邪症状の際に処方される総合感冒薬は要注意です。総合感冒薬には、眠気を誘発する成分が入っており、高齢者の場合、認知症のようなせん妄症状を起こすことがあります。また、認知症患者さんでは、大混乱してしまい緊急受診することさえあります。

その点、葛根湯は、高齢者・認知症患者さんでも心配なく使用が可能なのです。

10.まとめ

  • 風邪は引き初めの治療が大事です。
  • 何かおかしいと思った時の葛根湯の服薬はお勧めです。
  • 身体を暖めることで初期の風邪症状は撃退してくれます。
長谷川嘉哉監修シリーズ