人生最後の、素敵な心配り

2015-01-16

Sさんは、ヘビースモーカで肺癌にかかりました。病院でも有効な治療がないことを知ったSさんは、自宅への退院を希望されました。退院後は、当院の訪問診療となりました。喫煙家の方は、“いつ死んでも良い”と言いながら、いざとなると気が動転される方が多いものです。その点、Sさんは動じることなく、退院後に最初にしたことは“喫煙”ですから、腹が座っています。自宅では、いつも子供さんやお孫さんに囲まれていました。在宅の良いところは、病院にはない“生活音”に囲まれることです。ご家族も、Sさんを病人扱いすることもなく、周りで飲んで食べて騒いでと、いつお伺いしても賑やかでした。

その中でSさんは、自分のお気に入りの写真を選び、葬式の際の遺影まで作ってしまいました。さらに、葬儀屋さんと相談して、地味で少人数の“家族葬”を契約してしまったのです。実は、当院の周囲は、土地柄お葬式がとても派手です。そのため、勝手に“家族葬”などをすると、しがらみが多いのです。しかし、そこの気配りが素晴らしいのです。葬儀の日に、身内に手紙が配られました。『今回の葬儀は、すべて自分の我儘です。ですから残された家族には全く責任はありません。どうか、残された家族をよろしくお願いします』という内容です。


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自分の意志を貫きながら、残された身内や家族に対する心配りも忘れないSさん。死後、挨拶に来られたご家族が、とても誇らしげであったことが印象的でした。

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