リハビリ特化型デイとは・従来のデイサービスを嫌がる方にお勧めする3つの理由

リハビリ特化型デイとは・従来のデイサービスを嫌がる方にお勧めする3つの理由

介護認定を受けたのにも関わらず、介護サービスの利用を拒否される要介護者は結構いらっしゃいます。

家族としては、なんとか介護サービスを利用してもらいたいものです。しかし、特にデイサービスについて「俺はあんなところでお遊戯みたいなことはしたくない」「私はあんなところで皆と一緒にお風呂に入りたくない」といった不満を言われます。

そんな時は、リハビリ特化型デイサービス(リハビリ特化型デイ)を検討されてはいかがでしょうか?

リハビリ特化型デイは、レクリエーションや入浴、食事といった通常のデイケアでは当たり前の要素を省いたものです。その分、機能回復の運動や訓練を手厚く行うものです。

私の患者さんでも、デイサービスには拒否反応が強かった方が、リハビリ特化型デイサービスには休むことなく積極的に通われている方もたくさんいらっしゃいます。この記事では、リハビリ特化型デイサービスの内容やどんな人にお勧めかを解説します。また、注意すべきリハビリ特化型デイがあるのも事実です。そのような事業者を避ける方法についてもご紹介します。

リハビリ特化型デイという言葉を初めて知った方や、利用を検討されている方、また施設運営者の方もぜひ参考になさってください。

1.リハビリ特化型デイとは?

リハビリ特化型デイサービス機能訓練型特化型デイサービスという言葉は、新たに設けられたものではなく、また、正式な名称でもありません。介護保険制度上は通所介護(デイサービス)施設に分類される介護施設です。では違いはどこにあるのでしょうか。

1−1.従来のデイサービスとの違いが明確にある

通常のデイサービスは一日8時間前後、サービスを提供します。内容は、入浴、昼食、レクリエーションといった、身体介護が中心となっています。対して、リハビリ特化型デイサービスでは機能訓練やリハビリに重点を置いています。サービス提供時間も、午前・午後のように半日単位が多く、食事や入浴介助がないことが多い点が特徴です。

1−2.一日のスケジュール例(半日単位)

各事業所で多少異なりますが、概ね次のような感じです。

送迎から始まり到着後はバイタルチェック(血圧、体温、脈拍)を確認。準備運動としてストレッチ・体操を行います。その後は、トレーニングジムにあるような機械を使ったリハビリを行います。機械を使うといっても、負荷量は極めて軽く、入浴よりも運動負荷は軽いものです。その後、整理体操を行ってから送迎となります。

1−3.デイケアよりもリハビリ態勢が整っている

デイケアとは、通所リハビリとも呼ばれますので、混同されるケースがあります。デイケアには、「医師」「看護師」のほか「理学療法士(PT)」「作業療法士(OT)」「言語聴覚士(ST)」などが在籍していることが多いです。そのようなリハビリの専門職は、主治医の指示のもとに日帰りで「理学療法」「作業療法」「言語聴覚療法」を行います。

これだけ聞くと、デイケアは相当魅力的に聞こえます。しかし、通所リハビリと言っても十分なリハビリは受けられません。それは以下の理由によります。

医師は兼務で可能なため専任で常駐していることもほとんどありません。リハビリの専門職も必要最低限の陣容であることがほとんどです。そこに、多くの利用者さんが来られるわけですから、一人あたりにかけられる時間は10〜20分程度が限度です。このようにデイケアでできるリハビリに過度な期待は禁物です。リハビリ特化型デイでは、その足りない部分に特化しているのです。

ちなみにデイケアは、老人保健施設・病院・診療所などしか開設できないため、株式会社等による運営は認められていません。

2.リハビリ型デイサービスの対象者と効果

リハビリ特化型デイサービスは比較的介護度は軽くて、リハビリだけを希望する要介護者にお勧めです。目安としては介護度2くらいまでになります。この章ではそのような利用者さんにとって期待できる効果を解説します。

2−1.廃用症候群の予防・改善

過度な安静や、活動性の低下により身体に起こる廃用症候群対策にお勧めです。廃用症候群は、入院などでベッドで長期安静にした場合だけではありません。日常生活の中で徐々に活動性が低下した場合も、廃用症候群を引き起こしますから注意が必要です。廃用症候群はリハビリ型デイサービスが効果を発揮します。歩行に際して杖が要らなくなることもよくあります。一方で要介護者の廃用症候群が、不適切なケアマネージャによるケアプランが原因で引き起こされることもあるので注意が必要です。

廃用症候群について詳しく知りたい方は下記の記事も参考になさってください。

2−2.パーキンソン病には絶大なる効果!

私が専門とする神経内科疾患の一つにパーキンソン病があります。パーキンソン病は、使える薬の量が限られるため、薬の増量には慎重になります。しかし、リハビリ特化型デイサービスの機械を使ったリハビリが著効します。

薬の増量をせずに改善が図られるため、私の外来でもリハビリ特化型デイサービスは治療の一つと位置付けています。いらっしゃる多くのパーキンソン病患者さんのご家族もその点はご存知です。ケアマネだけがその事を知らないと、勉強不足が露呈することになります。

2−3.認知症が改善することも

本来は、身体の動きの改善を主目的とするリハビリ特化型デイサービスです。しかし、身体の動きが良くなると認知症状が改善する例も多数あります。身体を動かすためには、頭の働きが必要であることを考えると当たり前なのかもしれません。


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3.なんちゃってリハビリに引っかからない方法

先ほどまでリハビリ特化型デイサービスの効果をご紹介しました。しかし、中にはとてもリハビリとは呼べない内容の「名ばかりリハビリ特化型デイ」があるので注意が必要です。見分けかたをお伝えします

3−1.評価のないリハビリはリハビリでない

世の中には、単に「リハビリ型」を名乗っている施設が多々あります。そんなときに見極める方法は、リハビリの前後で評価をしているかです。評価とは、現状がどうか、事後で変化がどのようにあったかなかったかを判定することです。

例えば、当グループのリハビリ特化型デイサービスでは、定期的に以下の6項目の体力測定を行います。

1・開眼片足立ち:目を開けたまま片足で何秒立っていられるかを測ります。
2・ファンクショナルリーチ:立位で上肢の平行移動距離を測ります。
3・座位体前屈:座位での前屈でどのくらい柔軟性があるかcmで計ります。
4・落下棒テスト:長い棒を落下させてどのくらいの時間で握れるかをcmで測ります。
5・タイムアップ& ゴー:椅子から立ち上がってから3メートルの距離を往復し、また椅子に座るまでの時間を計ります。
6・2分間足踏み:2分間に何回足踏みができるかを回数で表します。

これらの結果を定期的に、ケアマネ、家族に報告することで皆で情報を共有することになります。

Male physiotherapist giving leg massage to patient
理学療法士の評価には可動性チェックや左右差なども含まれます

3−2.前もってお試し利用をしよう

リハビリ特化型デイサービスと言いながら、特別なことは何もせず、簡単な体操をしているだけの施設もあります。そのためにもお試し利用でリハビリ内容を確認しましょう。もちろん、定期的なリハビリ効果の報告の有無も確認しましょう。

3−3.フランチャイズに注意

「リハビリ特化型デイサービス」で検索すると、経営者向けのサイトが多く出てきます。半日のサービス提供で、入浴・食事のサービスがなく利益率が高いため、フランチャイズ展開する業者が現れました。しかし、多くのリハビリ特化型デイサービスが属する小規模デイサービスが、前回の制度改訂で介護報酬が大幅に減算されました。そのため、撤退する事業所も現れました。

本来、介護事業は簡単に撤退すべきものではありません。しかし他業種から参入した事業者によっては、そのような責任感は持ち合わせていないようです。

サービス内容とともに経営母体にも注意を向けましょう。特に、不動産業の新規参入業者は注意が必要です。心配なときは、ケアマネや介護経験のあるご家族に評判を聞いてみましょう。

4.特化型と訪問リハを組み合わせることで最高のリハビリプランができる

リハビリ特化型デイサービスは、相当に有効です。しかし、理学療法士等の専門家の配置は義務づけられていません。時々身体全体のバランスが崩れた状態で機械でのリハビリを続けてしまうこともあります。

それに対応する多面、私の患者さんでは週2回のリハビリ特化型デイサービスに週1回の訪問リハビリを加えています。そうすると、週1回は専門家が家にやってきて体全体の調整を行ってくれることになります。残りはリハビリ特化型デイサービスで正しいリハビリが行えます。

神経内科専門医としては、現在の医療介護制度の中において、最高のリハビリプランであると思っています。是非、ケアマネさんにお願いしてみてください。

5.ブレイングループの例

リハビリ特化型デイを実施しているブレイングループでの傾向をお伝えします。

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ブレイングループ・東濃デイリハビリセンターの様子

5−1.パワーリハビリの参加率が意外と高い

パワーリハビリとは機械(マシーン)を使用したリハビリです。当グループではドイツの認証を受けているコンパスシリーズを使用しています。見た目は本格的なジムマシンですが、文中でお伝えしたように軽負荷で身体の負担が少なく行うことができます。

当グループがリハビリ特化型デイサービスを始めた際、どの程度の方がこのリハビリを行ってくれるかとても不安でした。しかし、実際に始めてみると、体調を崩した人を除いてほぼ全員参加です。利用している方々の言葉によると、「何もしないと体が衰えることが不安です」と答えられます。要介護者の方が、黙々と機械を使ったリハビリをこなされる姿は、とても真摯なものです。

5−2.半日リハビリも人気

当初は、一日のデイサービスでリハビリを提供していましたが、途中で半日の提供サービスを加えました。食事、入浴はなく、リハビリだけ行うようにしたのです。これがとても評判がよく、一日のデイサービスは拒否していた方にも参加いただいています。

一方で、リハビリのせいではないですが、病状により要介護度が進んでしまい自宅での入浴が困難になる方もいらっしゃいます。その場合は、一日デイサービスに移っていただきます。当グループでは、一日デイサービスでも引き続き、リハビリが継続できる点を喜んでいただいています。

6.まとめ

  • 入浴や食事を希望されないでリハビリだけを希望される方にリハビリ特化型デイサービスは相当に有効です
  • 内容によっては専門家が属するデイケアより有効な事業所も多くあります。
  • リハビリ特化型デイサービスに訪問リハビリを加えると現状の制度の中で最高のリハビリが提供できます。
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