先日、“下町ロケット”の小説及びDVDにあまりにも感激したので、同じ池井戸潤さんの“空飛ぶロケット”のDVDも購入して、310分あるにもかかわらず、一気見してしまいました。
この作品は企業小説かもしれませんが間違いなく楽しめる小説でした。
ある財閥系の大手自動車メーカー製のトレーラー、これはもちろん実在の三菱自動車を指しています。
主人公の運送会社が走行中にタイヤが脱輪して通りがかりの母子を殺傷する。
メーカーの検査結果は部品の構造欠陥ではなくユーザーの整備不良だった。
警察の家宅調査。
タイヤ殺人事件でマスコミは大騒ぎ、被害者からは殺人者よばわり。
大口のお客からは仕事を断られ、銀行からは融資を引き上げられる。
小学生の子供はイジメにあう。
一方でこの車のディーラー、メーカー、財閥系ですから系列のメインバンク、商社、鉄鋼まで広がる思惑の錯綜。
そして当然、警察、マスコミ、役所と登場します。
主人公は資金繰り破綻の崖っぷちに立たされ、さあどうなるのかと見出したらやめられません。
真相を隠蔽する強大な敵に真っ向から戦いを挑む主人公の苦闘に感動させられます。
じつは、この作品も直木賞にノミネートされていて、受賞しなかったというところも皮肉でした。
ちなみに、刊行されたのが2006年9月25日。
次の新聞報道が2006年12月13日。
“三菱自動車製大型車のタイヤ脱落による横浜市の母子3人死傷事故をめぐり、リコールを回避するため国にうその報告をしたとして道路運送車両法違反(虚偽報告)の罪に問われた三菱ふそうトラック・バスの被告ら3人と、法人としての同社に対する判決公判が13日、横浜簡裁で開かれた。
小島裕史裁判官は3人と1法人にそれぞれ無罪(いずれも求刑罰金20万円)を言い渡した。”
無罪というところに驚きです。
企業体質など、簡単に変える事はできません。
自分は、生涯このメーカーの車を購入する事はないと思います。
あと、やはり銀行は信用できません。
経営状況がよければ、ニコニコして、時にお願い事さえをされます。
そんなことに応えても、いざとなったら助けてはくれません。
やはり借入金は一日でも速く返済しようと思いました。
素晴らしい小説を書かれた、池井戸潤さんに感謝です。