歯科受診は命を守ることにも繋がる!予約キャンセルNGな5つの理由

歯科受診は命を守ることにも繋がる!予約キャンセルNGな5つの理由

私は、歯科と認知症の関係を知るようになってから、定期的に歯科クリニックでメンテナンス受診をしています。私の予定の中で歯科受診は最優先に考えているものです。医師としても、歯科の定期メンテナンスはそれほど重要と考えているからです。

しかし、歯科の先生方とお話をしていると、せっかくの歯科受診をドタキャンする方がいらっしゃるとのこと。私自身も、なかなか取れない予約に苦労している中で、あっさりキャンセルされる方がいらっしゃることに辟易しています。

今回の記事では、歯科受診を絶対にキャンセルしてはいけない5つの理由をご紹介します。

目次

1.歯科のキャンセルとは?

歯科のキャンセルとは、予約制を取り入れいている歯科クリニックに起こる現象です。医科と違って、多くの歯科クリニックは予約制を取り入れているので、多くの先生が悩んでいる問題です。

1-1.予約のおおよそ15%に発生

治療の予約をしていながら、当日来院しない。歯科クリニックによって差はあるのですが、おおよそ10〜15%のキャンセル率の様です。これは、凄い数字です。せっかく歯科医および歯科衛生士が準備をしていてもその時間、仕事がなくなってしまうのです。

1-2.無断キャンセルが困る

キャンセルされる方のうち、前日までにキャンセルの連絡をしてくれるケースが10%、無断キャンセルが5%と言われています。無断キャンセルは言語道断ですが、前日にキャンセルの連絡があっても、そこにあらたな予約を入れることは難しいものです。

1-3.流行るにしたがって、増える

このキャンセルですが、患者さんが増えてきて、予約が取りにくくなりにしたがって増えていくから困ったものです。真面目に受診をしたい人が希望する日時に予約が取れない一方で、簡単に無断キャンセルをする人がいるのです。

流行する歯医者さんほどキャンセルが発生するようです

2.キャンセルする理由・歯科は命に係わらないと考えている?

なぜ、歯科の予約は簡単にキャンセルをしてしまうのでしょうか?

2-1.内科クリニックのキャンセルはわずか?

当院は、脳神経内科を中心とした診療をしています。認知症、脳血管障害後遺症、高血圧、糖尿病といった患者さんが中心です。外来は、歯科と同様に完全予約制でおこなっていますが、殆どキャンセルはありません。(本当に予約を忘れている人がいますが、電話をすると飛んできます)

2-2.命に関わるか否か?

当院に患者さんと、歯科の患者さんのキャンセルに対する意識の違いは何でしょうか ?私が想像するには、「医科は命に関わるが、歯科は命に関わらない」と考えられているからではないでしょうか? 実は、それは大きな考え違いです。

2-3.歯科は命に関わる全ての疾患に関与!

歯周病は、認知症、脳血管障害、虚血性心疾患、糖尿病の発症にまで関わっていることが明らかになっています。最近では、歯周病が、大腸がん、食道がん、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、膵臓がん、胃がん、血液のがんに対して危険因子になり得ることも分かっています。

つまり歯を守ることは、人間の寿命を短くするすべての疾患の予防となり得るのです。


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3.歯科医は足りなくなる。その理由は

命に関わる歯を守るための歯科医は過剰と言われていますが、いずれは不足になることが予想されます。

3-1.過剰な歯科医抑制

現在、厚生労働省は歯科医の過剰な抑制をしています。12年前の、第99回の歯科医国家試験では、合格率80.8%で3,308名の歯科医が誕生していました。しかし、第111回の歯科医国家試験では、合格率64.5%で2.039名しか歯科医が誕生していません。

3-2.引退が早い

歯科医は、医科に比べ、細かい作業が要求されるため、引退が早い傾向にあります。医師であれば70歳でも現役である方はたくさんいます。しかし、歯科医では70歳を超えても現役である方はかなり少なくなります。

3-3.国は間違える

実は、現在の歯科医に対する国の政策は、約35年前に私が医学部生であった時代に似ています。当時は、医師過剰時代と言われ、医学部の入学定員を減らしていたのです。その結果、現在、全国で医師不足が問題となっています。

今後、今まで以上に、全身疾患と歯科の関係が明らかになり、日常の歯科メンテナンスが重要となってくるでしょう。そのような中で、新規歯科医の数を抑制をしてしまうと、間違いなく歯科医不足の時代がやってくるのです。

4.歯科予約は皆で支えあう社会資本である、とは

歯科の重要性が認知され、歯科医不足の時代になると、歯科クリニックの予約はとても貴重なものになります。

4-1.命に関わる歯科はサービス業でない

歯科の予約は、サービス業ではありません。何しろ、歯科クリニックへの定期受診は、認知症、脳血管障害、虚血性心疾患、糖尿病、癌までも予防するのです。まさに、歯科は健康を守る社会資本なのです。

4-2.社会資本は大事に利用

社会資本は皆のものです。大切に分かち合って、利用することが必要です。キャンセルするような考えの患者さんは、大事な社会資本を利用する資格はないのです。

4-3.歯科予約は第一優先

皆さんにお願いをしたいことは、「一度予約した歯科予約は第一優先にしてください」ということです。一度キャンセルしたメンテナンスは、1〜数ヶ月後になってしまうこともあるでしょう。そうしているうちに病のリスクが増大する可能性があります。

もし、予約後に、歯科の予約日に他の予定が入りそうになったら、そちらを断ってください。何しろ、歯科クリニックの受診は命に関わる疾患を予防します。つまり、歯科受診の予約以上に重要なことは、殆どないと言って良いのですから。

Heart Shape with doctor
他の患者さんの権利を行使しているという考え方も大切でしょう

5.予約キャンセルは志のある歯科医の経営悪化に結び付く

最近では、志の高い若い歯科医の先生方が、真剣に診療に取り組んでいます。治療だけでなく、予防にも取り組んでくれています。その上、診療所だけでなく、在宅医療にも積極的に関わってくれています。本当に、医科歯科連携の心強いパートナーです。

しかし、そんな彼らを苦しめるのが予約のキャンセルです。予約のキャンセルは、そのまま売り上げ減につながります。予約のために待機した歯科医、歯科衛生士さんは機会損失となります。患者さんの心ないキャンセルが、せっかくの彼らの志を踏みにじることにさえなるのです。

6.まとめ

  • 歯科クリニックにおいて、予約のキャンセルが問題となっています。
  • 歯科クリニックへの定期受診は、認知症、脳血管障害、虚血性心疾患、糖尿病、癌を予防します。
  • これからの時代は、歯科クリニックは社会資本です。皆で大切に使いましょう。
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