『地方で稼いで東京で楽しむ』・・キトラ古墳壁画鑑賞

2014-05-23

平成26年のゴールデンウイーク後半は、東京国立博物館で“栄西と建仁寺”をみたあと、キトラ古墳壁画を鑑賞しました。キトラ古墳は、1983年に石室の盗掘穴からファイバースコープを挿入し、高松塚古墳に続く2例目の極彩色壁画を持つ古墳として発見されました。

キトラ古墳石室の内面には、厚さ数ミリの漆喰が塗られ、壁に四神及び獣頭人身の十二支、天井に天文図及び日月像が描かれています。これらはいずれも中国の陰陽五行思想に基づいて石室を一つの宇宙に見立て、被葬者の魂を鎮めるものとされます。武器を持った獣頭人身の十二支は守護神的な性格を併せ持ち、邪悪なものから被葬者を守る意味があるとも言われています。

今回は、「四神(しじん)」のうち白虎(びゃっこ)・玄武(げんぶ)・朱雀(すざく)、「十二支」のうち獣の頭に人の体を持つ子(ね)・丑(うし)が特別公開されていました。


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壁画は、2016年度を目処に、飛鳥歴史公園キトラ古墳周辺地区内に保存公開を目指して修理が行われていますが、修理(再構成)が完了した後では、壁画を遠方へ移動して公開することは技術的に困難になります。そのため、キトラ古墳壁画が、村外で公開されるのは今回が初めてで最後になるかもしれないのです。

公開されている作品はいずれも、7世紀末から8世紀に作られたとは思えないほど造形美にあふれ、見事に保存されていることに感激しました。さすがにこれだけの特別展示ですので入場に1時間、総入場者数は11万9268人であったことも納得です。このような素晴らしい展示が至る所で開かれている東京はやはり魅力です。『地方で稼いで東京で楽しむ』、すっかり堪能したゴールデンウイークでした。

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