その後、しばらくして、画廊さんから、篠田桃紅の作品を売りたい人が居るので見て欲しいとの連絡がありました。
見てみると、2点有り、いずれも素晴らしい作品でした。
しかし、結構な値段でしたので、冗談で“半額なら購入するよ”と言ってみました。
すると、画廊さんが直ぐ、依頼主に電話、半額でも良いとの返事でした。
実は依頼主が、結婚の際、父親から持たされたものだそうです。
娘さんは、絵に関心が全くなく、いくらでも良いので現金になるなら良いとの事でした。
“半額なら購入するよ”といった手前、購入しましたが、いずれこの絵も関心のない私の娘達が、いくらでも良いので売ってしまうのかと考えると寂しくなりました。
しかし、考え方を変えると、絵というものは、興味のある人間が一時的にお預かりするものなのかもしれません。
という事でお預かりしているのが以下の2点です。
ちなみに2点のうち1点には、“立心”と書いてあります。
篠田桃紅さんが、1956年単身ニューヨークに渡ったころに、書かれたものだそうです。
“立心”という言葉は、辞書を引いても無いのですが、その時の心情で書かれたようです。
“心を立てる”とても良い言葉だと思います。