スマホまかせにしない!健康に寄与する万歩計のメリットと効果的な使い方

スマホまかせにしない!健康に寄与する万歩計のメリットと効果的な使い方

私は、毎日万歩計を付けています。何しろ、車通勤で外来だけをやっていては1日3000歩にもなりません。そのため、毎日ウォーキングをして何とか1万歩を歩くようにしています。実際、外来でも多くの方にウォーキングを勧めています。

何しろウォーキングは、簡単で、身体への負担が少なく、あらゆる疾患に効果があります。患者さんが、全員ウォーキングを習慣化すれば、「医師も商売あがったり」になると思うほどです。今回の記事では、総合内科専門医の長谷川嘉哉が死亡リスクの観点からウォーキングの効用をご紹介します。

目次

1.毎日の歩数が多いほど死亡リスクは低下する

米国立衛生研究所(NIH)、米国立がん研究所(NCI)、米国立老化研究所(NIA)、米疾病予防管理センター(CDC)の研究者による米国の大規模調査で、1日の歩数が多いほど、すべての原因による死亡リスクが低下することが明らかになりました。研究結果は以下です。

1日の歩数が多いほど、男女とも死亡率が低くなり、心血管疾患やがんによる死亡率が低くなることが分かった。1日に4,000歩しか歩かない人に比べ、8,000歩を歩いている人は、全原因による死亡のリスクが51%減少。さらに1日に1万2,000歩を歩くと、死亡リスクは65%減少した。この効果は、年齢や性別、体重、食習慣、飲酒、喫煙などの生活スタイルに関わらず、ウォーキングに健康増進の効果があることが示された。

2.なぜ死亡リスクが低下?

なぜウォーキングがここまで死亡リスクを減らすことにつながるのでしょうか?

2-1.生活習慣病の予防・改善

ウォーキングを行うことで、内臓脂肪が燃焼されやすくなり、内臓の動きも活発になり、エネルギが消費されやすくなります。結果、糖や脂肪の代謝が改善され、糖尿病・脂質代謝異常・高潔といった生活習慣病が改善されるのです。さらに、筋肉量が増えることで、生活習慣病の予防にもつながるのです。

2-2.メンタルの改善

ウォーキングは身体だけでなく、精神面においても良好な影響を与えます。私たちは、経験的にもウォーキングをすると気分が晴れやかになることを感じます。実際に、米国の120万人を対象とした調査では、定期的な運動をしている人は、していない人に比べて「気分が優れないと感じる日数」が、月に約1.5日少なくなることが報告されています。メンタルな積み重ねは、最終的には寿命にまで影響を及ぼすのです。

3.1日の歩数を増やすことで健康余命を延ばせる

いくら寿命が延びても、ただ生きているだけでは意味がありません。健康で長生きできる健康寿命が大事です。長時間じっと座ったままの生活スタイルは、健康上のリスクとなることも報告されています。対して多くの研究で、1日の歩数が多いほど健康に長生きできることが示されています。この場合、まとまった時間の歩行だけでなく、短時間の歩行を積み重ねるだけでも効果があります。つまり、健康寿命のためには、日常生活で座ったまま過ごす時間を減らし、細切れの時間でもよいので、なるべく歩くことが大事なのです。

4.1日何歩が理想?

ウォーキングが効果的であることは分かったと思います。ならば、どの程度の歩数と頻度で行えばよいのでしょうか?


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東京都健康長寿医療センター研究所によると、1日平均歩数が1000歩を増すごとに発症を抑えることができる病気が増えます。但し、健康効果は8000歩とされています。そのうち、20分程度を早歩きをすることがより効果を高めます。逆にこれ以上ですと、身体に負担をかけすぎることもあるので注意が必要です。

5.継続する方法

これほどに効果のある歩行ですが、継続することは結構難しいものです。

5-1.アプリでなく万歩計も

毎日、歩数を測定することでウォーキングへの意欲が増します。まずは、スマホのアプリで試してみるのも良いかもしれません。但し、スマホのアプリの場合、歩数の測定が少し不正確です。

私は、KENZの万歩計を愛用しています。相当、値段は高いのですが、データをパソコンに取り込むこともでき、運動の管理・反省ができます。精度が高く、だらだら歩いた場合と、早歩きをした場合で、消費カロリーの差を検知できます。つまり、同じ歩数でも運動強度により消費カロリーが異なるのです。マニアックな方には、動機付けのためにもお薦めです。

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5-2.歩数を少しずつ増やしていく

ウォーキングは8000歩を週に4回以上行うことが理想です。しかし、最初から理想を求めてはいけません。まずは、日常生活の中で、車を使うことを減らし、歩く機会を増やしましょう。エレベータがあっても、階段があれば階段を使ってみましょう。電車の中では、席が空いていも立ってみましょう。こんな積み重ねが少しずつ、歩数を増やすことにつながるのです。

6.事前に医師に相談?

良くウォーキングに際しては、「医師に相談してから行ってください」と言われます。医師の立場からすれば、歩いていけない患者さんは殆どありません。敢えて言えば、糖尿病で運動中の低血糖の恐れがある方には、低血糖時に対処できる食べ物をもって歩いてもらっています。足首や膝の病気で整形外科にかかっている人は、やはり事前に医師に相談してください。

7.まとめ

  • 1日の歩数が多いほど、すべての原因による死亡リスクが低下します。
  • ウォーキングは、死亡リスクだけでなく健康寿命も伸ばします。
  • 理想のウォーキングは1日8000歩で20分程度の早歩きを加えることが理想です。
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