血圧は上が200を超えたら危険!絶対に様子を見てはいけないポイントを専門医が解説

血圧は上が200を超えたら危険!絶対に様子を見てはいけないポイントを専門医が解説

検診などで高血圧を指摘される方がたくさんいらっしゃいます。「収縮期血圧が140mmHg で様子観察される方」、「収縮期血圧が160mmHgで家庭血圧の測定を指示される方」など、服薬治療の前にいろいろな対応がされます。しかし、中には「収縮期血圧が200mmHgを超えている方」がいます。この場合は、けっして様子をみてはいけません。早急な治療が必要です。

今回の記事では、脳神経内科専門医の長谷川が、収縮期血圧が200mmHgを超えている方の正しい対応方法をご紹介します。

*収縮期血圧:血圧には上と下の血圧がある。血液を送り出すために心臓が最大に収縮した時、血管にかかる圧力を 、いわゆる上の血圧、正式には収縮期血圧という。

目次

1.200mmHg以上の血圧が危険な理由

血圧が多少高い程度ではすぐに症状は起こりません。しかし、収縮期血圧が200mmHgをこえると、以下の合併症の点からも極めて危険です。

1-1.高血圧性脳出血のリスク増

脳神経内科専門医として最も怖いのが、高血圧性脳出血です。高血圧を放置することで、正常の血圧に比べて、2~3倍脳出血が起こりやすくなります。収縮血圧が200mmHgを超えている方が脳出血になると、命を失う危険が高くなります。仮に救命されても、多くの場合は片麻痺などの後遺症を残します。高血圧性脳出血は、40歳代でも発症します。また前触れもなく、突然発症することが特徴です。

1-2.心臓の負担が高まる

高血圧は、心臓にも負担をかけます。脳出血と同様に、高血圧を放置することで、正常の血圧に比べて、2~3倍心筋梗塞が起こりやすくなります。長期的にも、高血圧を放置すると全身に血液を送り出すポンプ機能が低下して、血液の循環が滞り、労作時の息切れや、全身の浮腫が起こります。この状態は、まさに「真綿で首を絞める」様に、患者さんを苦しめます。

1-3.腎臓への負担

そもそも腎臓は血圧を調節する役割を担っています。そのため収縮期血圧が200mmHg以上のような状態が放置されると、腎臓の働きが低下して、慢性腎臓病の状態になってしまいます。こうなると、腎臓の血管の動脈硬化が進行して、腎臓に流れる血流量が低下して機能も低下して、透析が必要になることもあります。

160以上が出るようになったら毎日自宅でチェックしましょう

2.早急に服薬が必要

合併症を考えると、収縮期血圧が200mmHgを超えれば躊躇せずに治療することが必要です。

2-1.様子観察は不要

高血圧で初めて医療機関を受診される方に、いきなり薬を投与することはあまりありません。多くは様子を見たり、生活習慣を変えていただくなどで、様子を見ます。しかし、収縮期血圧が200mmHgを超えている場合は、躊躇してはいけません。すぐに降圧治療を開始する必要があります。

2-2.素人さんの意見に従ってはいけない

血圧については、素人の方がいい加減な知識をひけらかすことが結構あります。「いきなり血圧の薬を飲んではいけない」、「一度血圧の薬を飲むと一生飲み続けなければいけない」などです。私の患者さんにも、こういった間違った素人の意見に従って、40歳代で脳出血を発症して後遺症を残した方がたくさんいらっしゃいます。


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2-3.高血圧の原因は遺伝が多い

血圧が200mmHgを超える方の多くは、遺伝性です。したがって、生活習慣を改善しても血圧は下がりません。厳しい言い方をすれば、「そもそも長生きできない家系」なのです。そこを、降圧剤によって合併症を減らすことで長生きができる時代になったのです。現在の、平均寿命が延びた原因に、降圧療法は大きく関与していることを忘れてはいけません。

3.治療が遅れるとさらに治療が困難になる

高血圧に対する降圧治療は、初期であれば軽い薬を服用することで簡単に血圧が下がります。結果、動脈硬化性変化の進行も遅れるため、軽い薬を飲み続けることで血圧のコントロールができます。時々、「俺は10年以上、同じ血圧の薬を飲んでいる」と言われる患者さんがいらっしゃいますが、これはとても理想的なのです。

逆に血圧が200mmHg以上のような状態が継続すると、軽い薬では血圧は下がりません。ある程度の強さの降圧薬を数種類、組みあわせる必要があります。こういった患者さんは、血圧が少し下がり過ぎると、浮遊感などの副作用が出やすくなり、治療も困難となることが多くなります。

つまり、血圧が200mmHg以上になったら、合併症だけでなく降圧治療のためにも、一日でも早く治療を開始する必要があるのです。

4.起立性低血圧の患者さんは200mmHg以上でも対応は異なる

唯一、パーキンソン病患者さんについては、収縮期血圧が200mmHg以上でも様子観察することがあります。パーキンソン病患者さんは、自律神経症状の一つとして起立性低血圧を引き起こします。この場合、収縮期血圧が200mmHg以上ある日があったり、反対に100mmHg以下の日があったりするのです。こうなると安易な降圧治療が、血圧が低い日のことを考えると危険です。そのため、様子をみたり、極めて軽い降圧剤のみを使用します。

5.副作用への過剰な心配は不要

降圧剤の服用に対して、過剰に副作用を心配される方がいます。確かに副作用はありますが、どれも軽微です。仮に副作用が出ても、降圧剤には約7種類の異なる作用機序の薬があります。仮に副作用が出ても、作用機序の異なる薬を使うことで、患者さんに合った薬を見つけることができます。

何よりも、高血圧を放置することで発症する多くの疾患と比べれば、重大なものではありません。とにかく「素直」に服薬する方がメリットは大です。

6.まとめ

  • 収縮血圧が200mmHgを超える人への対応は、通常の高血圧の方とは対応が異なります。
  • 脳出血や心筋梗塞などのリスクが、はるかに高くなるため早急な降圧治療が必要になります。
  • 降圧薬の副作用は、合併症と比較すると軽微なものです。素直に服薬しましょう。
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