ワクチン接種後に発熱…解熱鎮痛剤は投与してもOKか?…総合内科専門医が解説

ワクチン接種後に発熱…解熱鎮痛剤は投与してもOKか?…総合内科専門医が解説

新型コロナワクチンの接種が、令和3年4月より始まっています。当院では、16のグループホーム、サービス付き高齢者施設、有料老人ホームの協力医になっているため、高齢者の方と同時に若い介護者にもワクチン接種を行わせていただきました。その結果、若い人ほど、倦怠感・発熱が強く解熱鎮痛剤が必要なケースが多いことがわかりました。今回の記事では、総合内科専門医の長谷川嘉哉が、ワクチン接種後の解熱鎮痛薬の使用について解説します。

1.新型コロナワクチン接種後の副反応とは?

予防接種後の症状は、副作用とは言わずに副反応といいます。

1-1.代表的な副反応

代表的な副反応は、注射部位の筋肉痛、発熱、頭痛倦怠感です。筋肉痛は、動かすことはできても、動かすたびに痛みが走るため、気分は良くないものです。しかし、24時間程度で、不思議なぐらいすっかり痛みはとれるようです。熱のあるなしに関わらず、倦怠感は半数以上で出ているようです。熱が出なくても倦怠感のため、家事ができずに一日横になっている人もいます。

1-2.年齢による差

正直、75歳以上の高齢者は殆ど副反応はありませんでした。筋肉痛、微熱程度の方が少人数いらっしゃいましたが、数%のレベルです。一方で、医療従事者や介護スタッフなどの若い方は、筋肉痛はほぼ全員、37.5度以上の発熱も半数近くに見られました。発熱がなくても倦怠感を訴える人それ以上、つまり、半数以上に見られました。特に、20〜30歳代の方の副反応は強いようです。

1-3.若い人の2回目はできれば仕事は休みたい

副反応は1回目より2回目が強く出ます。当院は、2回目のワクチン接種の翌日が偶然祝日でした。もし、祝日でなければ、運営に支障が出るほど、ほぼ全員にスタッフに副反応が出ていました。したがって、若い人であれ、できれば2回目の接種の翌日は、仕事は休みにしたいものです。

Ill woman checking thermometer having fever. Girl wearing protective mask while having cold, flu at home. Healthcare
若年層ほど副反応が出やすいようです

2.解熱鎮痛薬とは?

接種の翌日が休めれば良いのですが、そうでない方もたくさんいらっしゃいます。当グループのグループホームの職員にも、何人かには仕事をお願いせざるを得ませんでした。そんな時には、解熱鎮痛剤の服薬も検討します。その際に、検討される解熱鎮痛剤は、非ピリン系の鎮痛剤で、以下の2種類になります。

2-1.非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)

非ステロイド性鎮痛薬は生体内にある痛みなどを増強させるプロスタグランジンと呼ばれる物資の産生を防ぐことで痛みをとったり、炎症を鎮めることで熱を下げます。非ステロイド性鎮痛薬としてはアスピリンが有名ですが、最近では副作用の少ない非アスピリン系のロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン)、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)、インドメタシン(インダシン)、イブプロフェン(ブルフェン)といった薬が使われます。

2-2.アセトアミノフェン

アニリン系薬剤で、非ステロイド性消炎鎮痛剤とは作用機序が異なり、効果は緩やかです。しかし、副作用が少ないため、世界保健機関(WHO)の3段階疼痛治療でも第一段階に位置付けられ、小児や高齢者にも安心して使用ができます。

3.ワクチン接種後に解熱鎮痛剤を服用してもよいか?

そもそも、ワクチンの接種後に解熱鎮痛剤を服用しても良いのでしょうか?

3-1.ワクチンの効果が減少する?

はっきり言えることは、新型コロナワクチンでは明確な研究結果が出ていないことです。ただし、他の種類のワクチン接種の検討では、直前また直後に解熱鎮痛剤を服用すると免疫反応が妨げられ、抗体が付きにくくなるという報告もあります。一方で、抗体が付くことに有意差はないという報告もあります。つまり、ワクチンの種類や対象者によって、結果が異なるようです。


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3-2.WHOは頓服がお薦め?

なお世界保健機関(WHO)は、「解熱鎮痛薬の使用はワクチン接種前またはワクチン接種時に推奨されないが、ワクチン接種後副反応がある場合は認められる」と明言しており、米疾病対策センター(CDC)もこれについて同意しています。つまり、積極的に予防投与は進めないが、副反応が強いなら解熱鎮痛薬を内服しても良いのです。

3-3.65歳以上の高齢者は予防投与は不要?

私は、すでに1000人近い高齢者のかたに2回の新型コロナワクチン接種を終えました。その中で、わずかに微熱が出た患者さんがいらっしゃいましたが、解熱鎮痛剤の投与が必要な方は、一人もいませんでした。

4.予防投与がお薦めな方

ただし、私は以下の方は、副反応が強く出る頻度が高いため、接種後の解熱鎮痛剤の予防投与をお薦めします。

  • 20代から30歳代の方:この年代は、当グループのスタッフも半数以上が37.5度以上の発熱を認めました。仮に発熱がそれ以下であっても倦怠感も強いようです。
  • 過去に風邪やインフルエンザに殆ど罹ったことがない人:この人たちは、もともと免疫力が高いため、ワクチンをうつと発熱・倦怠感が強く出ます。私も、このケースで、1回目の接種でも全身倦怠感はかなりのものでした。
  • インフルエンザワクチンで倦怠感が強い方:インフルエンザワクチンをうつと、毎回倦怠感や発熱がでるかたは新型コロナワクチンでも同様であることが多いようです。

5.予防投与の方法

ワクチン接種の副反応予防としては、以下の方法を取ります。

5-1.服薬する解熱鎮痛剤は

服薬する解熱鎮痛剤は、非ステロイド性鎮痛薬ではなくアセトアミノフェンにしてください。明確な研究データが出ていない現状では、効果が強い非ステロイド性鎮痛薬では抗体が付きにくくなる可能性があるのです。

5-2.服用の仕方は?

1回目の接種後は、さすがに予防服用は不要です。2回目の接種後すぐにアセトアミノフェン300~500㎎服用しましょう。それでも副反応が出た場合は、さらに追加で服薬しましょう。原則、8時間は間隔は開けて、1日2回までにしましょう。

5-3.アセトアミノフェンをどうやって手に入れる?

外来などでアセトアミノフェンの処方を希望される方いらっしゃいますが、健康保険を使った予防投与は認められていません。アセトアミノフェンは、薬局でもネットでも販売されているので、自身で購入してください。

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6.まとめ

  • 新型コロナワクチンの副反応としては筋肉痛・発熱・倦怠感があります。
  • 20-30歳代の方の2回目の接種では、かなりの効率で副反応を認めます。
  • 解熱鎮痛薬のなかでも効果の緩やかなアセトアミノフェンの予防投与もお勧めです。
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