歯周病による脳梗塞は重症化リスク大!研究結果を脳の専門医が解説

歯周病による脳梗塞は重症化リスク大!研究結果を脳の専門医が解説
2020-04-21

脳神経内科専門医は、脳梗塞を専門として診察をしています。脳梗塞は、突然脳の血管が閉塞することで、片麻痺、めまい、意識障害を引き起こします。毎年100万人近い患者さんが脳梗塞を発症しています。従来、脳梗塞の原因は、高血圧、糖尿病、脂質代謝異常が原因とされていました。しかし、最近の研究では、歯周病が脳梗塞の発症に関わっていることが報告され、さらに重症化しやすいことも報告されています。今回の記事では、脳神経内科専門医の長谷川嘉哉が、歯周病と脳梗塞との関係についてご紹介します。

1.歯周病がある人は、脳梗塞のリスクが高まる。その研究結果とは

Dental inflammation
歯周病菌が血管を通じて脳(を含む全身)に悪影響を及ぼします

歯周病と脳梗塞との関連について、2つの研究結果をご紹介します。

1-1.歯周病があると2倍の発症率

以下の研究がこのほど発表されました。

最初の研究では、20152017年に脳卒中を発症した患者265人(平均年齢64歳、男性56%)を対象に、歯周病の有無と特定のタイプの脳卒中との関連を調べた。その結果、歯周病のある患者では、歯周病のない患者と比べて脳梗塞を発症する確率が2であることが分かった。また、歯周病のある患者では、視力や協調運動などの脳機能を制御する大脳後部の血管に梗塞を起こす確率が3に上っていた。さらに、歯周病は、脳の大血管に梗塞を起こした患者で多く見られたが、その他の部位に脳梗塞を起こした患者ではそれほど多くはなかった。(出典:DIME.jp 歯周病のある人は脳梗塞のリスクが高まる可能性、米サウスカロライナ医科大学研究

1-2.歯周病患者さんは、脳動脈の重度の狭窄が認められる

もう一つの研究発表は以下のようなものです。

脳卒中の既往がない成人1,145人(平均年齢76歳、女性55%)を対象に、MRI画像を用いて脳動脈の閉塞を評価した。その結果、参加者の10%では、脳動脈に50%以上の重度の狭窄が認められた。また、歯肉炎のある人では、ない人と比べて脳動脈に重度の狭窄が見られる確率が2であった。さらに、年齢や高血圧、高コレステロールなどのリスク因子で調整すると、歯肉炎のある人では、脳動脈に重度の狭窄が見られる確率が2.4であった。(出典:ダイヤモンドオンライン 歯周病の人は、脳梗塞リスクが2倍になる可能性

2.歯周病によるリスク1・脳梗塞自体の発症が2倍とは

医師になり30年、その間脳神経内科専門医として多くの脳梗塞患者さんを診てきました。しかし、最近まで脳梗塞の発症に歯周病が関与してることさえ意識していませんでした。幸い、多くの歯科医の先生との出会いから、歯周病の全身への影響を知るに至りました。しかし、脳梗塞の発症率が2倍にまでなるとは、改めて驚かされました。

残念ながら、多くの脳神経内科専門医は、そこまで歯周病による脳梗塞のリスクを知っていないと思います。「口腔内の細菌が、口の中の毛細血管から全身に回り、血管内で炎症をおこし動脈硬化を引き起こし、結果として2倍もの高率に脳梗塞を発症すること」を医師の方にも伝えていく必要があると思われます。

3.歯周病によるリスク2・太い血管が詰まりやすい

今回の、研究で驚いたのは、歯周病が脳梗塞のリスクを高めるだけでなく、重症化にも影響していることです。脳神経内科専門医は脳梗塞患者さんを診ても、「このケースは太い血管が詰まっている」、「このケースは細い血管が詰まっている」という事実確認をするだけです。

当たり前ですが、太い血管が詰まった方が、命を落とす可能性も高くなりますし、救命できても重篤な後遺症を残すことになるのです。まさか、そこに歯周病の有無が影響しているとは、専門医としても驚きです。

3d illustration of a constricted and narrowed artery and the blood cannot flow properly called arteriosclerosis
同じ脳梗塞でも太い血管が詰まる方がいます。その原因の一つがわかった、と言えるでしょう

4.脳梗塞は生活習慣の集大成で発症する、とは

脳梗塞患者さんを診ていると、この病気は「生活習慣の集大成で発症するのでは?」と感じてしまいます。

4-1.すでに生活習慣病を抱えている

高血圧、糖尿病、脂質代謝異常といった生活習慣病があると脳梗塞を発症しやすくなります。発症した患者さんに対しても、生活習慣病のコントロールをすることで再発を予防します。

4-2.常日頃の生活習慣も大事

脳梗塞の発症には、生活習慣病の予防だけでなく、生活習慣も重要です。規則正しい生活をして、適度な運動、禁煙、適量の飲酒が重要になります。

4-3.歯に対する意識が高い人は、生活習慣も良好

患者さんと話をしていて思うことがあります。生活習慣病のコントロールがされ、正しい生活習慣をしている方は、歯に対する意識も高いのです。言い換えれば、定期的に歯医者さんにかかりながら、生活習慣病がコントロールされずに、暴飲暴食、喫煙、多量のアルコール摂取をするような人はいないのです。このような3つの要素のどれかが欠けている人は脳梗塞を発症しやすいと言えるのです。

5.脳梗塞・最大の予防策が歯科メンテナンスとも言える理由

脳梗塞にならない、なっても後遺症を少なくするためにも歯科メンテナンスが重要です。

5-1.歯周病の予防

髪の毛を切るがごとく最低でも定期的に歯科医受診をしましょう。巷では、歯周病予防の方法が溢れていますが、どのような方法をとっても、評価しなければ意味がありません。そのためにも定期的な歯科メンテナンスが必要なのです。歯周病の予防が、脳の血管、特に太い血管の狭窄を予防するのです。

5-2.歯科メンテナンスを意識する生活習慣が大事

定期的に歯科メンテナンスすることが、自分の身体への気配りにつながります。歯をきちんとしていれば、暴飲暴食、喫煙、過度の飲酒は控えるものです。そのことが、生活習慣病のコントロールにもつながるのです。生き様の集大成といえる口腔内のメンテナンスが、脳梗塞をも予防するのです。

Old senior man sitting in a dental chair
3ヶ月に一度は歯科の定期検診を受診しましょう

6.まとめ

  • 歯周病は、脳梗塞の頻度を高めるだけでなく、重症度も高めます。
  • 脳梗塞は、生活習慣の集大成といえます。
  • 歯に対する意識を高めれば、自然と暴飲暴食、喫煙、過度の飲酒も控えるようになるものです。
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