湯あたり・湯疲れ・のぼせはそれぞれ違う!入浴後の体調不良を専門医が解説

湯あたり・湯疲れ・のぼせはそれぞれ違う!入浴後の体調不良を専門医が解説

高齢者のなかには、「長時間をお風呂に入って体調が悪くなった」、「デイサービスでの入浴後に、意識が遠のいた」といって医療機関に救急受診される方がいらっしゃいます。そうすると、医療機関側も、「湯あたりですね」「湯疲れですね」「のぼせですね」といった言葉で病状を説明をしているようです。いずれも命にかかわることではありませんが、言葉には定義があります。言葉の定義を知ることで、正しい対応ができるようになります。

今回の記事では、総合内科専門医の長谷川嘉哉が「入浴後の体調不良を表す言葉」について解説します。

1.温泉以外で「湯あたり」は起きない、とは

何気なく使っている「湯あたり」という言葉ですが、言葉の定義は、「頻繁にあるいは長時間温泉入浴を続けていると、現れる病的症状」です。つまり、あくまで温泉に入った時に起こる特有の症状を言います。そのため、温泉以外の入浴で起こる症状は、「湯あたり」とは言わないのです。

あくまで、原因は温泉に含まれる成分に対する反応です。これらには、以下の2つのケースがあります。

  • 好転反応:温泉に行って2~3日目にあらわれやすい症状です。温泉入浴による一時的な疲労で、自然治癒力がはたらき、体調を整えるためと考えられています。症状としては、だるい、頭が重い、寒気、めまい等などです。
  • 温泉が体に合わない:これは泉の泉質が体質に合わず体調を崩した場合です。温泉に行った初日から、体調が悪くなった場合は、温泉が体に合わないことも考えられます。

2.「湯疲れ」の定義とは

「湯疲れ」は、温泉に限らず長時間もしくは頻回に入浴することでおこります。「湯疲れ」は、急激な発汗で水分が失われる「脱水症状」と塩分・ミネラルが失われることでおこる「熱疲労」が併発している状態です。吐き気や全身の倦怠感が特徴です。12日程度の旅行の場合は「湯疲れ」であることが多いものです。

「湯疲れ」の予防改善には、とにかく水分を補給することです。見えていないだけで、入浴では大量に汗をかいています。そのために入浴前、入浴後の水分補給により、「湯疲れ」を予防改善します。

3.「のぼせ」とは?

「のぼせ」とは、「異常な熱感が頭や顔におこったもの」を言います。長時間の入浴をしていると、血管が拡張します。本来、人間の身体は、入浴後には血管が収縮して調整しますが、その働きが不十分だと、血管が拡張したままの状態になり、一時的に「のぼせ」が起きます。

なお、女性ホルモンの乱れや、一時的な緊張によっても、同様の「のぼせ」が生じます。この場合、顔や頭に加えて身体にも起こった場合は、「ほてり」といいます。

「のぼせ」を予防するには、入浴の際に、頭に濡れたタオルを載せたり、熱いお湯を避けたり、短時間の分割入浴がお薦めです。


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特に高齢者の入浴では、脱水や血圧変動が起きないように注意しましょう

4.鑑別の必要がある入浴後の意識消失

高齢者の方の入浴後の体調不良の中でも「意識が遠のいたり」「意識を失ったケース」は以下の鑑別が必要です。

4-1.頭蓋内病変

脳梗塞・脳出血・脳腫瘍のなどの病変がないかを検査します。この場合は、頭部CT検査を行います。意識消失とともに、一過性の麻痺などを認めた場合は、さらに頭部のMRIやMRA検査を行います。

4-2.虚血性心疾患・不整脈

心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患や不整脈も否定する必要があります。最低限、心電図、胸部XP、採血を行う必要があります。心電図を測定する場合は、2分程度は心電図を測定し、不整脈が認められる場合は、24時間心電図も行います。

4-3.てんかん

高齢者のてんかん発作な増えています。頻回に、意識消失を繰り返す場合は、他の疾患を否定したうえで、抗けいれん薬を投与する必要もあります。高齢者のてんかん発作については以下の記事も参考になさってください。

*高齢者や認知症患者に多い「てんかん」を見逃さない!5つのポイント

5.まとめ

  • 入浴後の体調不良には、「湯あたり」、「湯づかれ」、「ほてり」などがあります。
  • 「湯あたり」は、温泉以外では起こりません。
  • 「湯疲れ」改善予防には、入浴前後の水分補給が重要です。
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