60歳を迎えるベテラン開業医はなぜ活性酸素に関心を持つのか?

60歳を迎えるベテラン開業医はなぜ活性酸素に関心を持つのか?

先日、大学の同級生4人で、「60歳を迎えるベテラン開業医に聞く」という企画の取材を受けました。まだ56歳なので「60歳を迎える」には抵抗があったのですが、久々の同級生との集まりでとても楽しい時間を過ごしました。参加者は、皮膚科医が1人、糖尿病専門医が2人、そして認知症専門医の自分。面白く思ったのが、専門は違えども、全員が「病気を診るのではなく、なぜ病気になるのか?」に関心が向かっていたことです。今回の記事では、その一つの答えでもある活性酸素について、総合内科専門医の長谷川嘉哉が解説します。

目次

1.活性酸素とは?

活性酸素とは、呼吸に伴ってできる副産物です。酸素を体に取り込むと、その一部が活性化した状態である、活性酸素に代わります。酸素を吸って生きている人間にとっては避けることはできないものです。通常、取り込んだ酸素の数%が活性酸素になって体を酸化させてしまいます。私たちの体には、この酸化作用を守る抗酸化防御機能が備わっており、活性酸素による抑制・修復をすることが可能です。

しかし外部要因などが原因で活性酸素が多く生成されたり、抗酸化防御機能が低下すると、身体が酸化ストレスにさらされ、いわゆる「体がサビてしまう」のです。

2.疾患の90%は活性酸素が原因

なぜ60歳を迎えた医師が、そろって活性酸素に関心を持っていたのでしょう? 30年以上医師をやっていると、毎日毎日病気になってしまった患者さんを診ています。しかしある時「なぜ病気になったのだろう?」に気が付くのです。

人間が罹患する疾患の90%が活性酸素による酸化が原因と言われています。酸化が脳の細胞に起これば認知症、血管に起これば脳血管障害や虚血性心疾患を引きおこします。体の臓器で起これば、癌、糖尿病、肝硬変などの病気になるのです。もちろん皮膚におこれば、皮膚疾患やシミたるみといった美容上の問題も引き起こします。ある意味、老化と一言で片づけられている疾患すべての原因と言えるのです。

3.活性酸素が測定できる

そんな活性酸素ですが、できれば自身の体の状態を把握したいものです。しかし、そのためには大がかりな装置や大規模な実験施設が必要でした。しかし最近では専用の測定機器が開発されたことで、「活性酸素による影響を表す酸化ストレス度」と「酸化ストレスを消去する抗酸化力」が簡便に測定できるようになりました。

そのため世界中の医療機関、研究施設、スポーツ施設で導入され、研究やトレーニングに活用されています。そんな機械を当クリニックでも早速購入、測定しまくっています。

4.活性酸素測定でわかること

活性酸素を測定すると、多くのことが分かりました。


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4-1.再現性があること

最初は、「活性酸素の測定自体にバラツキがあるのでは?」と考えていました。しかし測定してみると高い傾向の方は何度測定しても高く、低い傾向の方は何度測定しても低いため、再現性は高いと考えられました。

4-2.個人差があること

測定する方の、年齢、生活習慣によってかなり差があることが分かりました。幸い56歳の私は、業者の方曰く「社会に出る前の学生さん並みに低い」と褒めていただきました。

4-3.活性酸素に影響する生活習慣

活性酸素に影響を及ぼす生活習慣として、体重、運動習慣、飲酒、喫煙、睡眠時間が影響をしているようでした。特に、子育て、仕事、家事で忙しく睡眠不足な女性は活性酸素が高めでした。

5.当院での活性酸素の利用方法

多くの医療機関では活性酸素は、「アンチエイジング」として測定されています。今後当院では、認知症患者さんを中心に測定を行い、それに対して保険外の薬物・点滴治療を積極的に行っていく予定です。もちろん一般の方も測定可能ですので、岐阜県土岐市になりますがお問い合わせください。(tel.0572-53-0656)

6.まとめ

  • 酸素を吸って生きている限り、人間は必ず体を酸化させる活性酸素が生じます。
  • 人間が罹患する疾患の90%が活性酸素による酸化が原因と言われています。
  • 活性酸素に影響を及ぼす生活習慣として、体重、運動習慣、飲酒、喫煙、睡眠時間が影響をしています。
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