医師の立場で言うのもなんですが、正露丸も百草丸も服用します。この2種類の薬剤については私の周囲の方にも愛用している方はたくさんいらっしゃいます。しかし、なぜか人によって、「正露丸派」と「百草丸派」に分かれているようです。私自身も、結婚する前は実家が「正露丸派」でしたが、結婚後は妻の影響で「百草丸派」になっています。子供たちなどは旅行の際には必ず百草丸を常備しています。そんな正露丸と百草丸、その詳細についてはあまり知られていません。今回の記事では、正露丸と百草丸について医師の立場で解説します。
目次
1.百草丸とは?
一般的に百草丸というと正式名称は「御嶽百草丸」です。
1-1.効果・効能
食べ過ぎ、飲み過ぎ、胸やけ、胃弱、食欲不振(食欲減退)、消化不良、胃部・腹部膨満感、もたれ、胸つかえ、はきけ(むかつき、胃のむかつき、二日酔・悪酔のむかつき、嘔気、悪心)、嘔吐
1-2.含まれる成分は?
御岳百草丸は5種類の生薬からつくられた胃腸薬で、胃腸に作用し、その機能を高め改善します。5種類の成分を紹介します。
- キハダ:唾液、胃液、すい臓、胆汁の分泌を促進して、食欲を高め、消化を助けるといわれています。 下痢を改善する効果 腸内殺菌作用をもつため、腸内における発酵異常による腹痛や下痢に対しても、改善が期待され、急性腸炎などにも有効といわれています。地域によってはこれを「百草」と呼ぶこともあるようです。
- コウボク:健胃・整腸・利尿・去痰などに用いられ、胃腸薬として腹痛、嘔吐、下痢、胸腹部の膨満感などに効果があります。また、気のめぐりをよくし、ストレス性潰瘍にも有効です。
- ゲンノショウコ:効能は下痢止めです。煎じてお茶のように服用すると下痢が止まります。その効き目は確かで「現の証拠」の名前が付いたといわれています。
- ビャクジュツ(白朮):根茎(肥大して養分を蓄える働きをする根茎)を乾燥させたもので健胃薬として用いられています
- センブリ・・薬効は苦味健胃剤として胃腸病・下痢・腹痛・消化不良・食欲不振などに用いられます。また、外用剤としてはぬけ毛・育毛にアルコール浸液を塗布します。
2.正露丸とは?
正露丸は、100年以上前から、ご家庭で使用されている常備薬です。
2-1.効果・効能
食あたり、水あたり、消化不良といった食べ物、飲み物が原因で起こる軟便、下痢およびストレス、かぜなどの原因で起こる軟便、下痢にすぐれた効き目を発揮します
2-2.含まれる成分は?
特徴は、生薬である主成分の「木レオソート」は腸の正常な運動を止めることなく、腸内の水分バランスを調整し、おなかを正常な状態に戻します。特に食あたり、水あたり、消化不良といった食べ物、飲み物が原因で起こる軟便、下痢およびストレス、かぜなどの原因で起こる軟便、下痢にすぐれた効き目を発揮します。
正露丸には、木クレオソート以外にもアセンヤク末、オウバク末、カンゾウ末、チンピ末などの生薬が配合されています。
2-3.独特のにおいのもとは
『正露丸』のにおいのもとは、主成分「木クレオソート」のにおいです。 ブナやマツなどの原木を炭化した ときに出る煙を冷却し、液化して静置すると木タールが得られます。 この木タールを繰り返し蒸留精製して 得られるのが植物由来の生薬「木クレオソート」です。
3.百草丸と正露丸の違い
恥ずかしい話ですが、個人的には正露丸も百草丸も同じような効果だと考えていました。しかし、両者には効果に違いがあるようです。以下のような使い分けが理想です。
3-1.下痢に正露丸
両者の大きな違いは、主成分「木クレオソート」です。この成分が食あたりなどでおこる下痢、軟便には効果的なのです。そしてこの成分こそが、独特な臭いの原因ですから我慢するしかないようです。
3-2.下痢がないなら百草丸
下痢はあっても軽く、食べすぎや胸やけや吐き気には百草丸が効果的です。こんな時に正露丸を飲むと独特の臭いでかえって体調が悪くなります。
4.まとめ
- 世の中には、「正露丸派」と「百草丸派」に分かれています。
- どちらも同じような効果と思われがちですが、違いがあります。
- 下痢を止めたいときには、臭いを我慢しての正露丸が効果的です。