アップルウォッチの心電図機能の可能性について総合内科専門医が解説

アップルウォッチの心電図機能の可能性について総合内科専門医が解説

2021年早々に、日本でもアップルウォッチで心電図アプリ(ECGアプリ)が提供されることがわかりました。同時に「不規則な心拍の通知機能」も実装されます。私は、アップルウォッチについてはそれほど詳しくありませんが、常時腕時計で心電図が測定できることは医師として魅力です。

何よりこの機能は、心臓の不整脈による疾患を減らす可能性さえあるのです。今回の記事では、総合内科専門医である長谷川嘉哉が、アップルウォッチの心電図機能に期待する可能性についてご紹介します。

1.検診の本格的な心電図で分かること

心電図では以下のような、心臓に血液が十分に循環しているか?収縮するリズムに乱れがないか?が分かります。

1ー1.虚血性心疾患

心臓に血液が十分に循環していない状態を、狭心症や心筋梗塞といって虚血性心疾患と総称します。この場合、心電図の胸部誘導と、四肢誘導の電位差から虚血性心疾患の有無を診断します。

1-2.不整脈

収縮するリズムの乱れを、不整脈と言います。この場合は、心電図の胸部誘導や、四肢誘導がなくても、一つの誘導である程度診断をすることができます。

1-3.アップルウォッチでは不整脈が測定できる

アップルウォッチは、腕に巻いているだけですから、胸部誘導と四肢電位の電位差を測定することはできません。そのため、虚血性心疾患の診断は困難です。したがって、アップルウォッチに期待されることは、不整脈の検出と言えるのです。

2.怖い不整脈

不整脈には、いくつかの種類があり、紹介するような怖い不整脈があります。

2-1.突然の心房細動で脳塞栓

心房細動という不整脈があります。この不整脈は心臓の心房という部分が、痙攣したように細かく震えます。何よりも怖いのは、その震えている心房の中で、「血液の塊=血栓」ができて、脳の血管を詰まらせてしまう脳塞栓です。有名人で言えば、長嶋茂雄巨人名誉監督です。長嶋さんは、心房細動による脳塞栓で、右完全片麻痺の障害が残ってしまいました。実際は死亡される方も多い病気です。

2-2.突然死の可能性のある不整脈

不整脈の中でも、突然死の可能性のあるものもあります。心室頻拍心室細動は、即刻処置が必要です。24時間心電図でこれらの不整脈が見つかり、緊急で連絡して病院に受診してもらうこともあるほどです。また、脈が遅くなる不整脈の房室ブロックも、しばしば突然死の原因となります。

2-3.健康診断で見つからないケースも多い

紹介した不整脈は、日常生活では殆ど出現していません。そのため健康診断で、心電図を測定しても見つからないことも多いものです。健康診断で心電図に異常がなくても、決して安心はできないのです。

patient getting heart rate monitored at hospital. Close-up Of Ecg Report
健康診断のわずか数分間の心電図測定では不整脈が見つかることはまれです

3.通知機能が受診のきっかけになれば

私は、総合内科専門医として、アップルウォッチの通知機能が、危険な不整脈診断のきっかけになることを期待しています。さすがに、腕につけているだけのアップルウォッチによる確定診断までは難しいと思います。

しかし、日常生活の中で、不整脈を検知さえしてくれれば、受診のきっかけになります。受診さえいただければ、心エコーや、24時間心電図になどで精査をすることで、危険な不整脈の確定診断につながります。結果的に、不幸な突然死を予防することができるのです。

4.問題点

不整脈診断に期待されるアップルウォッチには以下のような問題点があります。

4-1.高齢者につけられるか?

不整脈は、年齢関係なく起こりうるので若い人がつけても有効です。しかし、高齢になるほど危険な不整脈の頻度は増えてくるので、高齢者にこそ装着をお願いしたいものです。しかし、高齢者の方が、アップルウォッチと連動するスマホの設定や運用ができるかが最大のネックになります。

4-2.長時間の装着が理想

さらに危険な不整脈を検知するには、可能な限りの装着が求められます。理想を言えば、入浴以外のすべての装着が理想です。高齢になると、新しいことを生活に取り入れることが苦手になります。そのため、アップルウォッチの長時間の装着に抵抗を示される可能性もあるのです。

4-3.どの程度の精度?

アップルウォッチの不整脈の感知の精度も問題となります。あまりにも頻回の、異常の通知があれば、信頼がなくなり、せっかくの通知も放置される可能性があります。そのためにも、ある程度信頼がおける精度に期待したいものです。

5.お薦めアップルウォッチは

アップルウォッチは歴代のシリーズは1年毎に発売されています。心電図の検出が可能になるのは、Series 3以降のアップルウォッチです。内蔵されている光学式心拍センサーを利用して不整脈の兆候がないかをチェックし、不規則な心拍リズムが検出されるとユーザーに通知してくれるようです。

現在発売中のアップルウォッチには、 最上級モデルのSeries6、廉価版でコスパ最強モデルSEがあります。Series6は光学式心拍センサーだけでなく、血中酸素濃度が測れます。SEについては、光学式心拍センサーのみの搭載となります。

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6.まとめ

  • アップルウォッチで心電図アプリでは、不整脈の検出に期待が持てます。
  • アップルウォッチの不整脈の通知機能が、突然死を予防する可能性もあります。
  • 不整脈は、年齢関係なく起こりうるので若い人がつけても有効です。

 

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