総合内科専門医が解説・・検診で血尿・尿潜血を指摘された場合の7つのポイント

総合内科専門医が解説・・検診で血尿・尿潜血を指摘された場合の7つのポイント

検診で、尿潜血を指摘された方は多いのではないでしょうか? その場合、医療機関への受診を勧められることもあります。受診すると、「様子を見てください」と言われたり、さらに詳しい検査が行われることがあります。一口に、「尿潜血陽性」でも、対応には差があるのです。今回の記事では、総合内科専門医の長谷川嘉哉が、尿潜血を指摘された場合に、疑われる疾患、対応方法の違いなど7つのポイントご紹介します。

1.血尿・尿潜血とは?

そもそも、血尿・尿潜血とは、尿に赤血球が混じることを言います。程度によって大きく、二つに分けられます。

1-1.肉眼的血尿

見た目で、排尿時に、尿に赤色もしくは黒っぽい色、ときに血が混じることなど、血液が混じっていることがわかる状態を肉眼的血尿と言います。

1-2.顕微鏡的血尿

見た目には、血液が混じっていなくでも、試験紙を使うと赤血球が陽性と認められる場合や、尿の沈殿物を顕微鏡で観察して、一視野に5個以上の赤血球が認められる場合を、顕微鏡的血尿と言います。検診などで、初めて血尿・尿潜血を指摘される場合は、多くが顕微鏡的血尿です。

2.タンパク尿を伴う血尿・尿潜血の原因は?

血尿・尿潜血を指摘された場合、尿検査において他に異常がないかが重要になります。特に、タンパク尿を伴う場合(尿タンパクも陽性の場合)は、慢性糸球体腎炎などの内科的な腎疾患が原因のことがあるので、まずは内科への受診をお勧めします。

尿タンパクの有無でも原因疾患の可能性がわかります

3.タンパク尿を伴わない血尿・尿潜血の原因は?

血尿・尿潜血以外に、尿検査の数値に異常がない場合は、腎臓~尿管~膀胱~尿道に至る尿路のどこかに、出血の原因があることを意味します。

3-1.腫瘍

腎臓、尿管、膀胱、尿道のどこかに腫瘍ができて、血尿・尿潜血の原因となることがあります。悪性腫瘍が尿潜血の2~3%で見つかります。膀胱癌では、85%は肉眼的血尿で発見されます。そのため、40歳以上で初めて、血尿・尿潜血を指摘された場合は、精密検査が必要です。

3-2.結石

腎臓、尿管、膀胱に結石があると、知らないうちに血尿・尿潜血の原因となっていることがあります。尿管結石については、私自身が経験していますので、以下の記事を参考になさってください。

3-3.炎症

膀胱や腎臓に炎症があると血尿・尿潜血の原因となります。通常、膀胱炎の場合は、頻尿・残尿感・排尿時痛が伴いますが、膀胱炎が慢性化していると、血尿・尿潜血以外の症状がないこともあります。また、腎臓の炎症の場合は、腎盂炎となり、38度以上の発熱を伴うことが多いです。

4.さらなる検査を行うか否か?

血尿・尿潜血が指摘された場合、以下のような対応をします。

4-1.初めて血尿・尿潜血を指摘された場合

初めて、初めて血尿・尿潜血を指摘された場合、一度は再検査をしましょう。それで異常がなければ、さらに1〜2か月後に再検。それでも異常がなければ様子観察とします。しかし、再検査でも血尿・尿潜血が陽性の場合は、必ず医療機関を受診しましょう。

4-2.何科に受診

血尿・尿潜血以外に異常がない場合は泌尿器科。タンパク尿などの他の異常も認められる場合は、腎臓内科の受診がお勧めです。

4-3.2年以上前から血尿・尿潜血陽性が継続している場合

患者さんの中に、いちど精密検査をしてもまったく異常なし。それでも、2年以上、血尿・尿潜血が続いている患者さんがいらっしゃいます。このようにまったく異常がない場合は、様子観察でも大丈夫です。

5.行うべき精査

再検でも血尿・尿潜血が陽性の場合、以下のような検査を行います。

5-1.腹部エコー

超音波を使った検査です。痛みもなく簡単に行えます。腫瘍や結石の有無を調べることができます。

5-2.CT&MRI

さらに詳しい検査が必要な場合は、X線を使ったCTおよび磁気をつかったMRI検査を行います。

5-3.尿細胞検査

尿に含まれている細胞を顕微鏡で観察して悪性の細胞があるか否かを調べる検査です。尿管・膀胱・尿道で剥がれた細胞を観察することで、炎症性疾患や悪性腫瘍を発見することができます。

5-4.膀胱鏡

内視鏡で、尿道~膀胱等を観察します。最近は、柔らかい軟性ファイバースコープが使われるので、通常は外来で行い、検査時間も2~5分で済みます。

6.治療方法は

治療については、それぞれの原因に対して行われます。

6-1.炎症

腎臓~尿管~膀胱~尿道に至る尿路による炎症の場合は、いずれも抗生剤を使用します。抗生剤には、腎排泄と肝/胆道排泄に分けられます。当たり前ですが、腎排泄型の抗生剤しか効果はありません。抗生剤なら、何でも良いわけではないのです。

6-2.結石

尿路系の石の場合は、特に尿管結石は大きさで対応が異なります。大きさが10mm以上の大きさの石では、自然排出はあまり見込めません。6-9㎜で自然排石しない場合や、10mm以上の大きな石については、以下のような対応をします。

  • ESWL(体外衝撃波破砕術):体外から衝撃波エネルギーを当てて結石を小さく破砕し、尿管から膀胱に排泄させ除去する治療で、砂状になった結石は尿とともに体外に排泄されます。
  • TUL(経尿道的結石破砕術):尿道から 細い内視鏡を入れて尿管または腎臓の結石をレーザや空気衝撃波などの砕 石装置で砕石します。破砕された結石片は、手術中に体外に取り出すこと ができます。
  • PNL(経皮的結石破砕術):背中に小さな穴を開け、その穴から内視鏡を入れ、腎臓の結石を砕石、取り出す治療です。TULとの違いは、比較的大きな腎結石に対して行われることが多い手術です。

6-3.腫瘍

腫瘍に種類、進行度により異なりますが、基本は手術になります。最近は、ロボット支援下手術、腹腔鏡手術など低侵襲手術の頻度が増えています。また、尿路系の場合、生活の質(Quality of life:QOL)も重要となります。QOLを保てる範囲で、最大限の治療を行います。

7.まとめ

  • 検診で指摘される血尿・尿潜血の多くは、顕微鏡的血尿です。
  • 初めて、血尿・尿潜血を指摘された場合は、医療機関への受診が必須です。
  • 血尿・尿潜血以外に、異常がない場合は泌尿器科。他の異常も認められる場合は、腎臓内科の受診がお勧めです。
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