握力低下は万病のもと・握る力を鍛えて健康を維持しよう【専門医が解説】

握力低下は万病のもと・握る力を鍛えて健康を維持しよう【専門医が解説】

2020年9月にスポーツ庁が、昨年度の体力・運動能力調査で、20〜64歳の方は、最近10年間で男女、すべての年代で握力が低下している傾向を明らかにしました。たかが、握力と思ってはいけません。握力は、多くの疾患との関連がわかっているのです。今回の記事では、総合内科専門医の長谷川嘉哉が、握力と全身疾患の関り、さらには握力を向上させる方法について解説します。

1.握力とは?

握力とは、言葉通り、「手でものを握る力」です。前腕部と上腕部の筋肉より発揮される力のことを言います。多くの方も、一度は握力計で握力を図ったことがあるのではないでしょうか? そんな日常生活で何気なく使っている握力ですが、もしも握力が極端に低下したことを想像してみてください。食事もできません、書くこともできません、物を持つこともできません。日常生活を送るうえでとても重要な「力」なのです。

そんな重要な握力が、2020年9月のスポーツ庁の調査で、すべての年代で低下していることがわかったことは、大きな問題なのです。なお、握力の平均値は年代によって異なり、一般的には男子は35~39歳、女子は40~44歳でピークに達し、その後加齢に伴い低下します。高齢者の握力の平均値は、以下になります。

男性 女性
6064 42.85kg 26.31kg
6569 39.98kg 25.20kg
7074 37.36kg 23.82kg
7579 35.07kg 22.49kg

2.握力は死亡リスクの指標になる、とは

腕のごく一部の筋肉の強さを表しているに過ぎない握力ですが、全身の健康状態と深い関係があります。

厚生労働省の研究班によると、加齢に伴う握力の低下が大きいほど、「総死亡」、「脳卒中・心筋梗塞といった循環器系の死亡」、および「その他の死亡」のいずれも、死亡リスクが上昇することがわかっています。

3.握力と認知症の関係を示すデータも

握力は、死亡リスクだけでなく認知症にも影響を及ぼします。2016年国立長寿医療研究センターの発表では、握力が男性で26㎏未満、女性で18㎏未満の人は、そうでない人に比べると、認知症のリスクが2.1倍も高かったのです。

先ほど示した、高齢者の年代ごとの平均値を見ると、男性は、75〜79歳でも35.07kg、女性でも22.49kgです。認知症のリスクが高まる男性で26㎏未満、女性で18㎏未満というのは、かなり平均を下回っている方です。

4.握力がなぜ健康のバロメータに?

握力がなぜ健康のバロメータになるのでしょうか?

4-1.親ゆびを刺激すると脳がたちまち若返りだす

これは、拙書「親ゆびを刺激すると脳がたちまち若返りだす」にも詳細を書かせていただきました。人間は、親指を使うことで、複雑な動作を獲得することで進化しました。そのため脳のなかで、手を使うための面積は1/3を占めるに至っています。その上、手を動かす行為には意欲が伴います。つまり、握力を維持することは、脳の機能を維持することにもつながるのです。

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4-2.握力は全身の筋肉量を反映

全身の大きな筋肉を継続して動かすと、体内で筋肉を合成する物質が作られます。そうした物質がたくさん分泌されていれば、握力もアップします。逆に、全身の筋肉を動かさずに、筋肉を合成する物質がでていないと、握力だけを鍛えることは難しいため、握力は上がりません。つまり、握力から、全身の筋肉量を推し量ることができるのです。


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4-3.定期的な握力測定を

握力は、とても簡単に測定することができます。そのため、定期的に握力を測定することで、急激に低下した場合は、早急な対策を打つことができるのです。

5.握力を鍛えるには?

握力を鍛えることは難しいのですが、以下の方法が有効です。

5-1.日常生活の家事

何も特別な運動は必要がありません。日常の家事を見直しましょう。掃除、洗濯、料理、どれも握力を使います。昔ながらに、ぞうきんを絞っての拭き掃除などは、握力だけでなく全身運動にもなります。女性が男性よりも長生きなのは、いくつのなっても家事を行っているからかもしれません。

日常の家事を積極的に行うことで全身が鍛えられます

5-2.グーパー運動

手をひたすらグーパーすることも有効です。場所や時間を気にせずに、どこでも行えます。ただグーパーするだけですが、100回近く行うと結構な負荷になります。もちろん100回などと無理をせずに、できる回数をおこない、少しずつ増やしていきましょう。

5-3.全身運動も有効

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握力だけを鍛えるよりも、全身の運動をすることで、全身の筋肉量を増やすことが有効です。ブレインググループが開発したブレイングボード®もお薦めです。ブレイングボード®は、「有酸素運動」「筋力トレーニング」「柔軟性向上」「バランス性向上」の4つの運動がわずか5分でできてしまいます。まさに、高齢者の「体力の指標」をまとめて改善してしますのです。もちろん、ブレイングボードは、運動効果だけでなく、ブレイン=脳の名前が示すように、脳にも刺激を与えるので、お薦めです。

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6.まとめ

  • 握力は、死亡率だけでなく、認知症の発症とも関連があります。
  • そんな握力が、日本の全世代で、落ちてきていることは大問題です。
  • 握力は単独で鍛えるよりも、全身の筋力を増やすことの方が有効です。
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