子供のころから、私の周囲の大人は当たり前のように株式投資をしていました。目先の利益に一喜一憂することなく、長期投資で皆が豊かになっていました。12万部超えの名著がリニューアルされた本書で紹介されている、「株式投資はギャンブルである。でもそれは、たんなる賭け事ではない。素人でも大きな果実を手にすることができる、世界でもっとも魅力的なギャンブル」には納得です。
- ファイナンス理論から導かれるシンプルな結論は、「初心者は難しいことを考えず、世界株のインデックスファンドに長期の積み立て投資をすればいい」になる。
- 世界株のインデックスファンドを長期に積み立てるのは、産業革命以降の経済成長にベットする(賭ける) 投資戦略だ。
- 資本主義は、市場に存在するあらゆる差異(価格の歪み) から利潤を生み出す原理だ。企業家とは、市場の歪みにだれよりもはやく気づき、利己的な動機から金儲けをたくらみ、結果として市場を効率化させ、社会の富を増大させる者のことをいう。自分勝手な欲望がひとびとの幸福につながるこの不思議な仕組みのことを、アダム・スミスは「見えざる手」と呼んだ。
- チャートで儲ける方法が無料の株式セミナーで教えられていたり、近所の書店で売っている株の入門書に書いてあることは ぜったいに ない。
- 確実に儲かる方法をすべての投資家が知っていたならば、論理的に、その方法ではだれも儲けられない。なぜなら、損をする投資家がどこにもいなくなってしまうから。
- 株式会社というと「有限責任」が強調されるけど、いちばんのポイントは、 損を限定することでみんなを冒険的にする ことなのだ。
- 株式の価値は、その会社が将来にわたって生み出すすべての利益を現在価値に換算したものである。 これは、ものすごい定義である。あの複雑きわまりない株の世界を、たった一行で説明してしまった
- 債券投資は金利を予想するゲームだった。それに対して 株式投資は1株利益を予想するゲーム なのだ。
- 竹田和平がもっとも重視するのは、財務内容のなかでも株主資本比率と配当性向・配当利回りである。利益のなかから毎年株主にきちんと配当を支払い、そのうえで株主資本(資本金) を積み上げていく〝まっとうな会社〟以外は相手にしないのだ。
- 田は、配当とは経営者から株主への感謝の表現であり、最低限の礼節すらわきまえない会社に投資価値はないと考えている
- 「よい株を長く持ちましょう」という投資法はいつの時代も根強い人気があるが、その背景には、私たちのこころの琴線にふれるテーマが隠れている。
- 人生と同じで、会社の成長にもいろいろ波風があるだろうが、正しいものが最後には勝つのである。株式投資とは、株主や消費者の期待にこたえる会社、尊敬できる経営者とともに、自分自身が成長していく過程である。
- 経営者の業績を評価するには株主資本に対する利益率(ROE) に注目する必要がある。それこそが、与えられた資本から経営者がなにを生み出したかを知る最善の方法である。
- 犬猿の仲に見えるファンダメンタルズ派とテクニカル派は、じつは相互に依存しあっている。企業の〝本質的価値〟を無視して売買するテクニカル派がいなければファンダメンタルズ派の投資は成立せず、企業の収益予測によって株価が動かなければテクニカル派のゲームは始まらない。
- 投資家のすべきことは、あれこれの銘柄を組み合わせることではなく、各自のリスク許容度に合わせて国債(預貯金) と株式ポートフォリオの割合を決めることなのだ。
- 長期投資が可能なら、世界大恐慌だってぜんぜん怖くない。なぜなら産業革命以来、人類の経済規模は指数関数的に拡大をつづけているのだから……。
- 宝くじを買って億万長者になろうと夢見ていたり、競馬や競輪で生活しようと考えているのであれば投資はやめたほうがいい(ゲームとして楽しむのならこのかぎりではない)。投資用にワンルームマンションを買っているひともかなりあぶない。こういうひとは、ギャンブルでいちばん大事な期待値の計算ができていないからだ。
- 日本の宝くじの期待値が 46・4%、競馬などの公営競技が 75%なのに対し、ラスベガスのルーレットは約 95%、パチンコは約 97%。バカラやクラップスになると期待値は 98・6%から最大で 99・9%まで上がる
- 金融機関がこの手の元本確保型ファンドを売りたがるのは、コスト意識の低い投資家がひっかかりやすく、通常の何倍もの手数料をぼったくることができ、なおかつ仕組みがバレにくいからだ。
- 保険会社が販売する不幸の宝くじは、わずかな賭け金で大きな賞金が支払われるかわりに、ほとんどのひとが外れを引く特殊な商品である。
- 「投資家教育」の必要性が叫ばれている。だがほんとうに大事なことは、金融機関は教えてくれない。池に魚がいなくなれば釣りができないように、ネギを背負ったカモがいなくなれば儲けられないから
- 資産運用の成否の8割は「アセットアロケーション(資産配分)」で決まるのだ。
- マイホームを買った時点で、資産運用は終了している。そういうひとは、不動産の価格や住宅ローンの金利の変動で資産の価値が決まってしまうから、株式投資のことなど考えても無意味だ。
- 経済的な目標が家計の生涯収入の最大化なら、「生涯共働き」を超える人生設計はない。
- 為替リスクをなくすと、金利差のメリットまで消えてしまう。投資の世界では、フリーランチ(ただ飯) はそう簡単に見つからないのだ。
- 日本の個人投資家が世界市場に最適投資をするためには、 金融資産の 95%を外貨建てで運用しなければならない。
- 「投資の収益に対して税金を払わなくていい」というNISAのメリットはあまりに大きいので、課税口座での株式投資だけでなく、不動産や金の現物取引など、それ以外の投資をすべて無意味にしてしまう。今後は、「余裕のある資金はすべてNISAで運用する」というのが資産形成の王道になるだろう。
- 一家4人で同時にNISA口座を開設し、それぞれ月5万円を積み立てる簡略化した試算をすると、年利回り7%という保守的な想定でも、投資元本の7200万円に対して 50 年後の世帯資産はおよそ 10 億円(9億8541万円) になる。利益は9億1000万円、節税額はこれに 20%をかけた1億8000万円だ。
- 日本人が日本株に投資してさらに日本円のリスクを増やす合理的な理由はない。