『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』は、経済評論家・加谷珪一さんが、今の日本が抱える物価高や低賃金、年金の不安などについて、わかりやすく丁寧に解説してくれる一冊です。社会全体の変化や問題の背景を踏まえながら、これからの時代を安心して生きるために、私たちがどんな考え方や行動をすればよいのかを具体的に教えてくれます。将来に不安を感じている方に、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
- 私たちの心の中をポピュリズムが徐々に侵食しており、ちょっとした判断においても「後で考えればいい」「今さえよければいい」「面倒くさいことは嫌だ」といった感覚が強まり、徐々に合理的な考え方ができなくなっています。
- ひとたび始まったインフレを抑えるのは容易なことではなく、インフレ経済下では、継続的な成長と賃金上昇を実現できない限り、国民生活は果てしなく窮乏していきます。
- 現時点でも支払った保険料に対して2・5倍の年金がもらえる仕組みになっており、民間に存在するどの商品よりも圧倒的に安全で有利です。
- 今後の試算においても、制度が破綻する可能性はゼロに近く、今、 20 代の人であれば、人口構成の変化によって、むしろもらえる年金額が増える可能性すらあります。
- 私たちの賃金を上げて生活を豊かにするには、ある程度まではモノやサービスの価格を上げなければなりません。
- 物事には両面があるということを常に自覚することが、最終的には私たちの利益につながります。
- 喫茶店の倒産急増。コーヒー豆はもはや高級品
- 日銀は市場に大量のマネーを供給する政策を 10 年以上続けた結果、約600兆円もの国債を抱えることになり、同額のマネーが市中にバラ撒かれました。結果として日本の物価は上がり始め、一連の動きを為替市場が察知して、円安ドル高が進んでいるという状況です。
- 今の日本で物価が上がって為替が円安に振れ、輸入品の価格が上昇しているのは、ある意味で、日銀が意図的に行ったものと捉えることができます。
- 日本では今後もマネーが余剰となり、物価が上昇して円安になるという予想が成り立つことになります。
- 日本では大規模緩和策がうまく機能せず、物価だけが上がり、経済は停滞したままで、賃金も上がらない状況が続いています。ここで金融を正常化しようと金利を上げてしまうと、様々な悪影響が各方面に及ぶことになります。
- 日本の住宅ローンのほとんどは、売却価格が下落しローン残高を下回った場合には、残額についても引き続き、返済を求められます。一方、米国の住宅ローンは、仮に返済ができなくなった場合、不動産を銀行に渡せば、それですべての借金はチャラになります。
- インフレによる事実上の増税については、ケタ外れな巨額増税であるにもかかわらず、感情的な反発の声はあまり聞かれません。これがインフレによる税金のマジックといえるでしょう。
- 現在の年金制度が抱えている最大の危機というのは、2割から3割程度の年金減額が予想されることです。
- 日本において賃金が上がらない最大の原因は、単純に企業が儲かっていないからです。
- 1997年における各国企業の売上高を100とした場合、過去 20 年でドイツ企業は売上高を2・7倍に、米国企業は3倍に拡大させたことが分かります。一方、日本企業は売上高がほとんど伸びておらず、ほぼ横ばいの状態が続いているのです。
- 日本の上場企業経営者というのは、単に年功序列で従業員から昇格した人が大半を占めています。
- 米国は市場原理主義の国とも言われており、経営者に対しプレッシャーをかけるのは、株式市場に投資をする投資家が担います。
- 日本ではいまだに大企業を中心とした重層的な下請け構造が存在し、中小企業を搾取するような古い商慣行が残っています。
- 日本の労働者の7割は中小企業で働いていますから、大企業がいくら賃上げを実現しても、日本全体で賃金が上がらないのは当たり前のことなのです。
- 日本の所得税の収入分布を見てみると、年収1000万円以上の高額給与所得者で所得税収の半分を占めています。年収1000万円以上を稼ぐ人は全体の約6%に過ぎませんから、わずか6%の人で全体の税収の半分を支える図式になっています。
- 日本の医療制度は、世界に自慢するものがほとんどなくなってしまった今の日本人にとって、唯一、胸を張れるもの
- 日本特有の驚くべき現象が観察されます。それは医療従事者の過重労働です。 日本の医療従事者一人が担当しなければいけない患者数は、何と欧米各国の3倍もあります。
- 日本は精神病床の多さも突出しています。全体の2割が精神病床となっており、諸外国との比較では人口あたりの病床数が3~ 20 倍とやはり突出した数字です。
- 医療費全体のうち 20%が薬に関連した支出で占められており、年々、薬価が高騰しているという背景もあり、これが医療費の総額を押し上げています。
- 日本は米国と比較して超富裕層が圧倒的に少なく、配当に対する課税を 30%まで増やしても、そこから得られる税収は数千億円程度と予想されます。
- 世帯別の有価証券保有状況を見ると、年収2000万円以上の世帯が保有する比率は9%しかなく、年収1000万円以下の世帯が全体の約7割を占めています。一般的に有価証券というのは富裕層が保有しているイメージが強いですが、なぜイメージと実態が乖離しているのでしょうか。その理由は年金生活に入った高齢者の存在です。
- これからの時代の老後というのは、体が元気なうちは可能な限り仕事を続け、勤労収入を生活の柱にすべきだと思います。年金は働いて得たお金の足し
- 米国ではごく普通のビジネスパーソンが、若い頃からコツコツと株式投資を続け、リタイアする時には1億円以上の金融資産を持っているというケースはザラにあります。
- 投資も同じで、多くの経験値を積むと、たいていのことが「あの時に近いな」といった感覚で処理できるようになり、株価が急騰したり暴落したりしても慌てることがなくなります。
- 社会学的な研究では、経済的・社会的に成功しやすい人というのは、親友と呼べるほど密接な関係ではないものの、それなりに信用でき、程よい関係を維持できる知り合いが多いことが知られています。
- 意外に思うかもしれませんが、成功しやすい人はたいていどんぶり勘定です。その理由は、お金を過剰に細かく管理することには合理性がないからです。
- ここで言うところのどんぶり勘定というのは、細かい金額は覚えていなくても、大きなお金の出入りについては完全に把握している状態を指します。
- 成功できる人は「投資」に近いお金の使い方をしており、うまくいかない人は「消費」的なお金の使い方をしているといえるかもしれません。


認知症専門医として毎月1,000人の患者さんを外来診療する長谷川嘉哉。長年の経験と知識、最新の研究結果を元にした「認知症予防」のレポートPDFを無料で差し上げています。