【お薦め本の紹介】60歳からの知っておくべき経済学

【お薦め本の紹介】60歳からの知っておくべき経済学

経済学は、大学の教養課程で学んだ程度です。難しくてとっつきにくい記憶でしたが、高橋洋一さんにかかると、経済学が日常生活にとても役立つことが理解できます。まだ60歳未満の方にもお薦めです。

  • 退職金で悠々自適に生活するにしても、余剰資産を運用してお金を増やすにしても、年金だけで細々とやっていくにしても、どんな状況でも経済に関する知識が欠かせない。
  • 大切なのは「川を上り、海を渡る」ことだ。これは比喩的表現で、「川を上る」は「歴史をさかのぼって過去の経緯を調べること」、「海を渡る」は「海外の事例を調べること」を指す。これが何事においても真実を知り、騙されないようにするための方法だ。
  • 「思い込み」を捨てることから学問は始まる
  • バブル期にはとてつもないインフレーション(物価の上昇)が起きたという思い込みがある。当時の実際のインフレ率は0・1%から3・1%の範囲であり、ごく健全な水準だった。高騰したのは、株式や土地など一部の資産価格だけだ。
  • 財務省のように、意図的に「日本は財政が破綻寸前だから消費増税が必要」といった虚偽情報を流し、国民を洗脳しようとする勢力も存在する。
  • 年をとると、新しい情報を取り入れる意欲や機会が減少するといわれている。特にシニア層は、思い込みを捨てる努力が何よりも大事だ。
  • 公式を導き出す過程を理解していれば、数学の問題はだいたい解けるし、応用もできる。
  • 世の中に出回るお金の供給量を増やせば経済は成長し、日本の場合もバブル期にはそれができていたが、失われた 20 年の金融引き締めによって景気が低迷し、アベノミクスの金融緩和のおかげで持ち直してきた、とわかる。
  • 世界で共産主義国がどれくらいあるのか調べてみると、昔は100以上あったものの、現在残っているのはわずかに5カ国。つまり、5%くらいしか成功していないわけであって、それでは正しい政策とは呼べない。
  • 経済政策では、インフレ率と失業率を同時に考慮することが重要で、その関係を示すのが「フィリップス曲線」でインフレ率が低いと失業率が高くなり、逆にインフレ率が高いと失業率が低くなる。
  • 失業率が下限に達するまで、金融緩和を続けるのがセオリーであり、それが2%のインフレターゲットの背後にある理由だ。
  • 最低賃金を引き上げれば雇用は改善する」と勘違いしている人もいるが、それは経済政策としては悪手
  • 為替レートはマネタリーベース(資金供給量)の比率で決まり、その説明だけで為替に関しては大部分を理解できる
  • 百歩譲って、もし「国力=GDP」と無理やり定義づけたとしても、GDPを押し上げるのは、円高ではなくて「円安」のほうだ。  その意味では、「円安=国力低下」という言説は二重の意味で間違えている。
  • 自国通貨安は「近隣窮乏化政策」といわれている。通常、自国通貨が安くなると、国内産業の国際競争力が向上して輸出が増加する。一方、相手国は逆に国際競争力が低下して輸出が減少し、失業が増えることがある。
  • 国内で円安を批判するのは国益に反する行為といえるだろう。
  • 円安のメリットを最も享受しているのは、実は日本政府だ。外国為替相場の安定のために設けられた「外国為替資金特別会計」により、国が海外に保有している「対外純資産」(資産から負債を除いたもの)は、1990年末には 44 兆円だったが、円安の影響もあって2021年末には411兆円まで増えた。
  • マスコミはしばしば、マクロ経済的視点を欠いており、ミクロ経済に焦点を当てて「円安は悪い」という印象を操作することがある。
  • 賃金を上げる最適な政策は、まずは雇用を増やして、失業率を下げることだ。これによって人手不足が生じて名目賃金が上昇し、その結果、物価も上がり実質賃金も上昇していく。
  • いちばん問題なのが「財政規律派(緊縮増税派)」だ。しかも厄介なことに、この派の代表格には、財務省、金融庁、日銀と、国の中枢を担う顔ぶれが並んでいる。
  • 日本の「財政」は危機的ではない。金融工学、会計学、財政学など、あらゆる学問の観点からみても、日本が財政危機でないことははっきりしている。
  • 財政破綻論者は、BSの負債だけをみて「借金が多い」と主張している。だが、重要なのは負債の総額(グロス)ではなく、負債から資産を差し引いた額(ネット)だ。
  • 将来の価格変動やリスクを取引の対象とした、金融派生商品(デリバティブ)の「クレジット・デフォルト・スワップ」(CDS)でみても、日本が5年以内に財政破綻する確率は1%未満と評価されている。
  • 災害時に増税するという愚策を、筆者はかつてきいたことがない。
  • IMFのレポートによると、日本が国として保有する金融資産は世界でも最大級だ。
  • 政府関係機関を完全に民営化して、政府からの出資金や貸付金を停止すれば、政府の借金は確実に減る。
  • 財務省の横暴に、政治家やマスコミが立ち向かわないのはなぜか。それは財務省が強大な「税務権力」を握っているからだ。
  • 本来、財政再建の必要はないのに、誤った消費増税が繰り返され、その結果、多額のGDPが失われてきた。それにもかかわらず、政府、日銀、財務省は、消費増税による景気悪化を決して認めようとしない。
  • マイナンバーカードの健康保険証利用は2021年 10 月から始まり、2023年9月からは全ての医療機関・薬局で利用可能になった。現在も急ピッチで環境整備が進んでおり、いずれは本人の再確認がほとんど不要となり、医療機関・薬局でも事務コストの低減が実感されていくだろう。
  • 日銀が積極的にETFを購入していた時期、日本の国内株式の時価総額は約700兆円だった。そのうち、日銀の購入金額は6兆円で全体の株価に対して1%未満だった
  • 最悪なのは、年金を受け取って暇を持て余すことだ。お金のかからないデモに参加し、どうでもいいことを主張するしかなくなる。
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