高齢者こそマイナンバーカードを!取得メリットをFP資格医師が解説

高齢者こそマイナンバーカードを!取得メリットをFP資格医師が解説

私は、ファイナンシャルプランナー(=FP)資格を持つ脳神経内科専門医として、保険営業の方や税理士、FPの方の前で講演させていただく事があります。そんな時に、「皆さんの中で、マイナンバー通知カードをマイナンバーカードに交換された方は手を挙げてください」と質問します。そうすると、チラホラと手が上がります。その頻度は対象の如何に関わらず10%程度です。本来、マイナンバーカードのメリットを理解されている方々でさえこの程度です。

しかし、マイナンバーカードは高齢者こそメリットがあります。今回の記事では、高齢者がマイナンバーカード申請するためのポイントをFP資格を持つ専門医がご紹介します。

なお高齢者の身分証明書問題について以下の記事も参考になさってください。

目次

1.マイナンバー通知カードからマイナンバーカードに替えていますか?

マイナンバー通知カードとマイナンバーカードの違いをご存知でしょうか?

Here are the documents
マイナンバーカードは強力な身分証明書になります

1-1.マイナンバー通知カードとは?

2015年(平成27年)10月から住民票を有する全ての方に、12ケタのマイナンバーが付与されました。マイナンバー通知カードは、紙製のカードで住民にマイナンバーをお知らせするものです。

ただし、顔写真は記載されていないため、証明書として使うことはできません。

1-2.マイナンバーカードとは?

12桁のマイナンバーに加えて、氏名、住所、生年月日、性別、個人番号、顔写真、有効期限等が記載され、さらにICチップも搭載されるカードが「マイナンバーカード」です。

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マイナンバーカードのイメージ(出典:岡崎市役所

1-3マイナンバーカードの普及率

マイナンバーカードは希望者にのみ付与されます。顔写真入りの身分証明書として使えるのですが、通知カードからマイナンバーカードに替えられた方は、2018年時点で全国で10.7%にとどまっています。私が講演の際に、皆さんに手を挙げてもらった印象もやはり1割程度です。

全国規模でみて、最も発行している年代が「65歳~69歳」で「12.6%」。最も少ないのが「0~4歳」で「0.8%」です。

都道府県別にみると、上位が「東京都:13.7%」で最下位が「福井県:7.2%」です。

2.高齢者こそマイナンバーカードを

あまり普及してないマイナンバーカードですが、高齢者こそ通知書をマイナンバーカードに替えることでメリットを享受してもらいたいものです。

2-1.顔つき証明書が必要な場面が増える

高齢になって、前頭葉機能が低下したり、認知機能障害が出現すると不思議と通帳を紛失しがちです。必死に探すのですが、これが見つからないものです。本人が大事な通帳を必死にしまい込むため、結果的に自分でも見つけることができなくなるのです。

そうすると銀行で通帳の再発行をお願いすることになります。そんな時に求められるのが、身分証明書です。それも写真付きのものを求められます。マイナンバーカードがまさにこれに当たるのです。

2-2.免許証以外の、顔つきの身分証明書をなかなか持っていない

顔つきの身分証明書は、若い人であれば運転免許証で事足ります。しかし、高齢になると免許を更新しなかったり、そもそも免許を持っていない方が多くなります。パスポートもそれに当たりますが、海外旅行する機会がなければ、失効されている方もいます。そうなると身分証明書が準備できなくて途方に暮れることになるのです。

なお、運転免許証を自主返納すると、運転経歴証明書が手に入ります。これは、期限がなく身分証明や本人確認として使用することができます。


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Japanese driver's license and certificate issued after return
免許証とほぼ同じ形式の「運転経歴証明書」も便利です

2-3.介護保険の申請には必要

平成31年3月の時点で、介護保険の申請の際にはマイナンバーを記載する必要があります。その際に、マイナンバー通知カード自体を紛失してしまい、家族が慌てられることも多々あります。マイナンバー通知カード自体が紙製のためどうしても失くしやすいのです。ぜひ、マイナンバーカードにして、大切に保管されることをお勧めします。

3.関門1:マイナンバーカードの申請

実は、マイナンバー通知カードからマイナンバーに交換するためにはいくつもの関門があります。まずは、マイナンバーカードを手に入れるために申請することが第一の関門です。申請には以下の3つの方法があります。

3-1.郵送による申請

マイナンバーカードの交付申請書にご本人の顔写真を貼り、送付用封筒に入れて郵送で申請します。

3-2.スマートフォンによる申請

スマートフォンで顔写真を撮影し、所定のフォームからオンラインで申請します。

3-3.パソコンによる申請

デジタルカメラで顔写真を撮影し、所定のフォームからオンラインで申請します。

いずれの方法も、若い人であれば簡単です。それこそ、スマホで写真を撮れば、一瞬で申請が終了してしまいます。しかし、高齢者の場合、写真を用意するだけでも大変です。それが理由で、諦めてしまっている方が多いのです。

4.関門2:受け取る際の本人確認書類を用意する

マイナンバーカードの申請をすると、1か月前後でお住まいの市区町村から交付通知書が送付されます。そうすると交付通知書に記載された交付場所に、交付通知書と通知カード、本人確認書類を準備して、マイナンバーカードを受け取ることができます。

しかし高齢者の場合、この際の本人確認書類の準備が大変です。本人確認に使用する公的な身分証明書は、本人の顔写真がついているものが原則です。高齢者で、顔写真のついた身分証明書がない場合は、以下のようなものを2点提示する必要があります。

*2点必要な顔写真無し身分証明書

  • 各種健康保険証・各種年金手帳
  • 住民票の写し・住民票の記載事項証明書
  • 印鑑登録証明書
  • 戸籍謄本・抄本(戸籍の附票の写しが添付されているもの)

5.関門3:いつ受け取る?受け取る際の暗証番号設定は?

マイナンバー交付通知書も送られてきて、本人確認書類も準備できても、いつ取りに行くかが問題です。市町村によっては平日のみです。中には、土日も対応していても月に1回、それも要予約など対応は不親切です。

それどころか、受取には期限があり、受取期限を過ぎた場合は、自治体の方でカードを廃棄してしまいます。その時点で、すべての努力は無になってしまいます。

何とか時間を使って、受取に行くと今度は暗証番号の設定が必要です。各人がパソコンで暗証番号を設定する必要があるのです。若い世代では簡単な事ですが、高齢の方が暗証番号を決めて自分でパソコンに入力する作業は相当大変です。

6.家族が代理人として申請する方法も

高齢者や認知機能の低下している方は、家族が代理人として申請することがお勧めです。スマホで写真を撮ってあげて申請。市町村の窓口にも代理人が委任されて行けばよいのです。この場合は以下の書類が必要です。通常、顔写真付きの身分証明書がない場合は代理申請は難しいため、個別で市町村で対策を相談をしてください。

なお、実際に私も診断書を書いたことがありますが、「アルツハイマー型認知症により、マイナンバーの受け取りは困難である」という簡単なもので十分です。

  • 交付通知書(はがき)
  • 本人の本人確認書類:顔写真付き身分証明書を2点 または、顔写真付き身分証明書と顔写真無し身分証明書からそれぞれ1点ずつ               
  • 代理人の本人確認書類
  • 通知カード
  • ご本人の出頭が困難であることを証する書類:医師による診断書・本人の障害者手帳・本人が代理人の施設等に入所している事実を証する書類など
Studying Real Estate Purchase Agreement
身分証明書の登場機会は多いもの。ぜひご家族の方がお手伝いしてあげてください

7.まとめ

  • 普及していないマイナンバーカードですが、高齢者こそ役立ちます。
  • しかし、申請には大きな関門が3つあります。
  • 場合よっては、ご家族が代理申請してあげた方が簡単です。

 

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