サルからヒトに進化するとき、
手の指はたいせつな役割を果たした。
獲物をとるために、
石をつかみ、道具をつくり、武器をつかいこなす。
手先を器用につかうことによって、
脳は活性化され、その容量を大きくしていった。
ヒトの進化は、脳の進化だ。
つかむ
もつ
なげる
むすぶ
はめる
ひねる
まわす
脳からの「指令」はますます複雑になっていったが、
指先はそれを見事に表現してみせた。
こうして、さらに脳は活性化していった。
指の発達と脳の発達は、連動していたのだ。
脳からの複雑な指令を実現するうえで、
もっとも大切な指がある。
親ゆびだ。
日常の動作をイメージしてほしい。
むすぶ、はめる、ひねる、まわす……。
もし、親ゆびがなかったら、これらの動作はできるだろうか?
いや、できない。断言することに少々問題があるのだとすれば
「すくなくとも、スムーズにはできない」と
言い方をかえてもかまわない。
人間の親ゆびは、特別だ。
ほかの4本の指の腹と「向かいあわせる」ことができるし、
自在に「ぐるぐる回す」こともできる。
こんな芸当ができるのは、5本指のなかでも親ゆびだけだ。
これによって、さまざまな動作が可能になった。
皆さんの生活を振り返ってみましょう。
最近、親指使っていますか?
ほとんどの作業は、ボタン一つ押すことで成り立っていませんか?
最近ではペットボトルの栓を開けられない子供も増えているようです。
このような猿化を防ぐためにも本書で紹介する親指刺激法、
さらには日常生活で親指のうごきを意識してみませんか?