先回紹介した公益法人ですが、我々営利企業で介護事業をしていると不満もあります。例えば、社会福祉法人の5割近くは200人以上の職員を抱えます。大規模な社会福祉法人は事業展開に積極的です。特別養護老人ホームの事業者に限ってみても、7割以上が在宅向け介護サービスを、約3割が保育所や認定こども園を併せて運営しています。そのため介護や保育に参入した営利企業からは、国や自治体の保護を受ける公益法人との競争条件が公平でないとの批判もでています。
実際、介護や保育などを手掛ける社会福祉法人の8割が1億円以上の金融資産を持つことがわかっています。うち半数の4割は5億円以上を保有するから凄いものです。大規模化していく公益法人が、企業と競うような分野で収益をあげて内部留保をつみあげているとの見方もできるのです。
実は、私はNPO法人も運営しています。初期の建築費の8割は国・県から助成金をいただきました。残りの2割は、国の融資で極めて低い金利の固定金利で借りました。その借入金もすでに完済しました。さらに、国の助成金でありながら減価償却できるから驚きです。民間企業であれば減価償却費で借入れ返済を行うのですが、助成金を受けたNPO法人では利益自体は少額でも現金だけは残っていきます。
営利企業と恵まれたNPO法人の両方の運営していると、両者の気持ちが分かります。ちょっと複雑な思いです。しかし言い訳をすると、NPO法人では今度の立替時には助成金はもらえません。そのための内部留保を厚くしているともいえるのですが・・。