最近、分野に関わらず生き方には、2種類あるように思えます。『山を登る人と、山を作る人』です。従来の組織の中で、確実に山を登っていく人と、新しく山を作ってしまう人です。医療で行けば、大学や大病院といった組織の中で生きている人と、新しく組織を作り新しい価値観を生み出している人たちです。もちろん、どちらが良くて、どちらが悪いといった単純な話ではありません。しかし従来の組織が、時代の変化についていけない”組織疲労”を起こしていることも事実です。
先日も、勤務医の先生4人と対談形式の取材を受けました。取材の趣旨は、「専門外の医師がどのように認知症の診察をするか?」でした。しかし専門知識の議論になってしまい、結論も出ませんでした。まるで患者さんが医師に質問して、専門的知識を押し付けられ、何も聞けなかった印象です。もう少し取材目的に沿った議論をするべきだったのです。
今回の会議は、現在の医療の問題点の縮図だと思いました。確かに医療人は一生懸命やっています。しかし、『自分達がしていることが、患者さんの、どんな問題を解決できるのか?』という視点が欠けています。結果、医療が進歩しながらも、民間療法が現れ、健康本が盛んに出版されているのです。このことは、患者さんが医療に満足していないことの裏返しであり、医療人は反省する必要があると思われます。
これからの時代は、歴史的に見ると明治維新や第2次世界大戦並みの変化が起こります。そのときは、多くの山は崩壊して、無数の小山がある社会になっていると思われます。ある方が言われていました、「 凡人は山を登り、賢人は山を作る」。自分は、新しい山を作る人間でありたいと思っています。