娘たちにSpaceXのIPOを勧めたら断られた―194回の家族会議が教えてくれたこと

娘たちにSpaceXのIPOを勧めたら断られた―194回の家族会議が教えてくれたこと

先日、話題になっているSpaceXのIPO(新規株式公開)について、私は娘たちにこんな話をしました。「せっかくだから申し込んでみないか?」SpaceXは世界中が注目する企業です。イーロン・マスク氏が率い、宇宙開発や通信事業で大きな可能性を秘めています。もし将来さらに成長すれば、大きな利益を生むかもしれません。

私自身も投資家として興味を持っていますし、夫婦で申し込みもしました。そこで、30代の娘たち3人にも声をかけてみました。すると返ってきた答えは、予想外にしっかりしたものでした。

「そんなギャンブルみたいな投資はしない」
「私は毎月の積立投資を続ける」
「長期で増やせればそれで十分」

その言葉を聞いて、私は少し驚き、そして少しうれしくなりました。

目次

第1章 親はつい“一発逆転”を勧めたくなる

若い頃の私は投資というと個別株が中心でした。どの会社が伸びるか。どの銘柄が化けるか。そうしたことを考えるのが楽しかったのです。IPOもその一つです。当たれば大きい。しかし外れれば利益はありませんし、上場後に株価が下落することもあります。

それでも親というものは不思議なもので、自分が面白いと思うものを子どもにも勧めたくなります。「もしかしたら大きく増えるかもしれないぞ」そんな気持ちがどこかにあったのだと思います。

第2章 娘たちの返事に学んだこと

ところが娘たちの反応は極めて冷静でした。

「積立投資で十分」
「インデックスを長く持つ方が安心」
「将来のことを考えると、その方が合理的」

私は思わず笑ってしまいました。誰に似たのだろうと思ったのですが、よく考えると、私自身がずっと言い続けてきたことだったのです。多くの人は刺激を求めます。しかし実際に資産を築く人の多くは、毎月同じ額を積み立て、暴落しても売らず、何十年も続ける人たちです。娘たちはまさにその考え方を選んでいました。


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第3章 本当に伝えたかったのは投資ではなく考え方

私は娘たちに投資の技術を教えたかったわけではありません。本当に伝えたかったのは「考え方」だったのです。

長谷川家では、娘たちが学生の頃から毎月家族会議を続けています。お金の使い方、貯蓄、投資、保険、相続、働く意味などをテーマに話し合い、先日で194回目を迎えました。特別なことを教えているわけではありません。ただ、お金について家族で話し合う習慣を大切にしてきました。

世の中には魅力的な話がたくさんあります。必ず儲かる、今だけ、限定募集――そうした話はいつの時代も存在します。しかし大切なのは「それは本当に自分に必要なのか」と考えることです。今回の娘たちは「自分の投資方針と違う」という理由で断りました。誰かが勧めたからではなく、自分の頭で考えて判断したのです。

194回続けてきた家族会議の中で伝えてきた価値観が、娘たちの中にしっかり根付いていたことです。自分で考え、自分で決める。その姿勢こそが、親として本当に残したかったものだったのだと思います。

おわりに

子育てをしていると、本当に大切なのは、自分で考える力、流されない力、長い目で物事を見る力なのだと感じます。今回、娘たちはSpaceXのIPOを選びませんでした。投資として正しかったかどうかは10年後にならなければ分かりません。

それでも私は、娘たちの判断を誇らしく思いました。親が子どもに残せる最大の財産は、お金ではなく考え方なのかもしれません。そして今回、その考え方が少しは伝わっていたのだと感じることができました。

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