先日素晴らしい写真と再会しました。前田真三さんの写真です。自分は18歳の時に彼の写真集を購入していたのです。本の値段は3800円、当時の経済状況からすると相当高価な本です。何より、自分は写真集を購入するような趣味は持っていませんでした。しかし、そんな自分に購入を決意させるほど、彼の写真集はインパクトがあったのです。
しかし最近では、その写真集の存在さえ忘れていたのですが、平成26年6月に偶然写真展を見る機会がありました。30年経っても彼の写真を見ると、私の扁桃核が“快”と感じたのです。18歳の時に感動した記憶を“海馬”が明確に覚えていて、瞬時に“快”と判断したのです。
写真展の会場で、前田真三さんの写真ギャラリー”拓真館“が北海道の美瑛にあることを知りました。偶然にも平成26年6月22日に、旭川での講演依頼をいただいていました。当初は、講演だけして帰るつもりでしたが、”拓真館“は旭川空港から”車で30分の距離です。レンタカーを借りて、足を延ばすことにしました。
”拓真館“では、北海道上川郡美瑛町を中心にした丘の風景の作品が中心に並べられていました。特に代表作『麦秋鮮烈』では、濃紺の夕立雲の下に広がる麦畑が落日間際の太陽が照らし出され、鮮烈な色を放つ赤麦畑が撮影されています。とにかく彼の作品はどれもこれが写真?と思わせるほどのインパクトがあります。ありきたりの言葉ですが、とても癒されるのです。私は、観光地で見ること以上に写真を撮ることに夢中になっている人たちには、”人間の眼で見ること以上の感動はないですよ“と思っていました。しかし、前田真三さんの写真だけは、実際の風景以上の感動を湧き上がらせるから不思議です。
拓真館の周辺は、見わたす限りの丘の風景が続いていました。丘陵地帯の景観を楽しみつつ拓真館に至り、そこで間近に見てきた風景のさまざまな季節の表情を写真を通して、改めて見直すことができます。素晴らしい感動を呼び起こさせてくれ、美瑛の地を訪ねるきっかけを頂いた前田真三さんに感謝です。