先回紹介した長谷川千波さんの本の中で、『営業マンは仮面をかぶれ』と紹介されています。営業を演じることで疲れないために、営業としての『顔』をかぶるのです。
医師もある時期、自分に合った仮面をかぶるような気がします。研修医の時などは、多くの先輩医師の患者さんへの接し方・態度を見て、良い所を取り入れながら自分のスタイル、ある意味仮面を見つけたような気がします。長谷川さんが指摘されるように、自分の仮面ができると疲れなくなった気がします。さらに経験を積むと、患者さんによって”かぶる仮面”を変えることもできるようになりました。
特に女医さんは、かぶる仮面によって印象が変わります。大きく2つのタイプに別れるようです。一つ目は、男性優りの仮面。もう一つは母性を前面にした仮面。
かぶる仮面という観点でいうと看護婦さんも面白いものです。病棟の看護スタッフはおおよそ20名前後で構成されます。病院や病棟が変わっても、婦長・主任・中堅・若手。優しい人、厳しい人、意地悪な人、要領の悪い人、良い人など不思議と同じような組み合わせです。皆でかぶる仮面を分担しているのかもしれません。
中には、仕事に馴染めず、疲れ果てて辞めていくスタッフもいます。これなどは、仮面をかぶることなく、素の自分で仕事に取り組んだからかもしれません。
長谷川千波さんは、“女性は人前に出るときにメイクをします。男性もオンとオフでは服装が違います。お客様の前でふさわしい姿を 「演じる」ことは、TPOにふさわしい装いをするのと同じなのです。”と言われています。長谷川さんには営業マンだけでなく、医療従事者向けにも、仮面のかぶり方、患者さんの前での演じ方についてセミナーしてほしいものだと感じました。