前回紹介したMCI(軽度認知障害)は機能面でみると、前頭葉機能が障害されています。前頭葉機能障害と言っても分かりにくのではないでしょうか?簡単に言うと前頭葉機能障害とは、論理的思考と理性のコントロールの障害です。正直、前頭葉機能障害の方は社会の中では迷惑です。具体的な例をご紹介します
・ 親子関係の断絶:外来で家族歴を聞くと、親子で大喧嘩をして疎遠になっている方が結構見えます。子供さん(特に息子さん)は、親に対して論理的に話を進めがちです。もちろん子供としては親のことを考えてです。しかし、MCIの患者さんは、論理的思考が苦手です。息子さんの説明が十分に理解出きずに、理性のコントロールができないため思わず怒鳴ってしまうことになります。結果、子供としては、“なんで分からないだ!”となるのです。
・ 高齢者離婚:論理的思考ができずに、ときには理性がコントロールできないような配偶者との関係はストレスです。時に、高齢者離婚にさえなります。この場合、夫婦ともがMCIになるとそれなりにうまくいくのですが・・
・ 前頭葉機能は、突発的変化に対応する際にも大事な働きをします。この場合問題になるのが車の運転です。道路交通法が厳しくなったといっても、これはあくまで認知症の患者さんです。MCIの患者さんには全く未対応です。なにしろ、見た目も正常、運転もできます。しかし咄嗟の際にアクセルやブレーキを踏み間違えるのです。先日も、某クリニックの待合室の外側に車が激突。外壁のひずみが、室内にまで及んでいます。その挙句運転者は“アクセルとブレーキを間違えたが、それほど強く踏んでいない・・”とのこと。人がいれば、間違いなく死んでいました。
医療法人ブレイン土岐内科クリニックでは、認知症患者さんと同様に、MCIの診断にも力を入れています。ということは、周囲には、危険なMCI患者さんがウロウロ。クリニックの周囲には危険がいっぱいです。