当院は、認知症を専門にしています。そのため、認知症のレベル及び生活環境から成年後見人制度を積極的に紹介しています。成年後見人は弁護士・司法書士といった士業が中心に進められることが多いようですが、医学的診断をするのはあくまで専門医です。最終的には家庭裁判所が判断しますが、医師の鑑定書の内容次第です。
最近は、鑑定書作成の手間のためか、費用負担する家族のためかは不明ですが、鑑定書の前段階である簡易診断書で認定されることが増えました。そのため、以前に比べ認定のハードルは低くなったようです。
しかし、成年後見人が認定されると、相続税対策としての借入によるアパート事業や、会社オーナの持ち株の後継者への贈与も不可能となるので、つければ良い訳ではありません。当院では、『○○さんは成年後見人が付けられるレベルです。しかし現状で困ることがなければ様子をみましょう。必要になった時に申請しても十分に間に合います』と説明しています。
ちなみに、成年後見人には、親族後見人が7割以上です。内訳は、親7.9% 子31.7% 兄弟姉妹 12% 配偶者 8.6% その他の親族 12%です。残りは、専門職後見人に頼みます、内訳は、司法書士が10.5% 弁護士7.7% 社会福祉士 5.3%です。
しかし、こんな記事が出ていました。
“成年後見、弁護士の標的に 預かり金着服相次ぐ 事務所経営や生活維持に流用、同業と競争激しく?
障害者や高齢者の財産を専門家が管理する「成年後見制度」を巡り、選任された弁護士らが、預かった財産に手を付ける不祥事が全国で相次いでいる。最高裁によると、判明した被害額は少なくとも5億円近くに上り、弁護士の信頼を揺るがす事態に。危機感を募らせた日本弁護士連合会は、資金管理の厳格化など新たな対策に乗り出した。“
記事の最後には、“法曹人口の増加に伴い、弁護士同士の競争が激しさを増す中、ある検察関係者は「生活を維持するために、顧客の金に手を付けた可能性もある」と推察している。”
呆れてしまいます。専門職としての意識が低すぎます。法曹界の方には、猛省していただきたいと思います。