【お薦め本の紹介】鬼滅の刃で脚光!遊廓と日本人

【お薦め本の紹介】鬼滅の刃で脚光!遊廓と日本人

人気アニメ『鬼滅の刃』の第二期では遊廓が舞台になり、親御さんたちは子供にどう説明すれば良いかわからないそうです。そんな親御さんには、田中優子さんの「遊廓と日本人」のご一読をお薦めします。

  • 遊郭の二つの側面は、日本文化が守られ継承されたということ、同時に、借金を返すために男女関係を避けることができなかったこと
  • 遊廓より遊女の存在の方が古く、遊女は芸能者であったことです。昼に美声を聞かせ、夜に呼ばれて床入りをするのです。
  • 吉原遊廓があったからこそ、日本でもっとも優れていた吉原の芸者衆が、明治以降の日本文化に大きな影響を与えた
  • 吉原遊廓は、畑の中に人工的に作られた四角い町で、現代で言えばテーマパークといったところです。遊廓の「廓(かく、くるわ)」とは、囲われて独立した区域という意味
  • つまり、大きなお金が動くということは、そのお金に縛られている人がいるということです。それが遊女だった
  • 高尚な文化と生々しい身体の両方が同時にある世界。武士は刀を預け、著名な商人の権威も通用しない、身分の無い世界。
  • 蠟燭は行燈よりずっと明るいですが、高価なので 大店 つまり大企業などで使うだけでした。しかし吉原の座敷ではとても高価な、とりわけ大きな百目蠟燭を使っていた
  • 「時計の調整」とは、江戸時代の大名家や 大店 にだけあった和時計の、歯車の調整のことです。和時計は太陽の動きに時計を合わせるので、常に調整が必要でした。この技術を持つということは、大名家や大店の夫人なみの見識があるということ
  • 多くの太夫は和歌を詠み、手紙を見事な筆跡で書きます。俳諧、狂歌もでき、漢詩を作ることもありました。
  • 遊女が貴族や大名の娘のように多くの教養を積んでいたのは、日本文化の核心である色好みの体現者となり、豪商や富裕な商人、大名、高位の武士たちと教養の共有、つまり色好みの共有を果たすことが求められていたからでしょう。
  • 近松門左衛門の浄瑠璃の時代がやってきます。その影響は絶大なもので、ほんものの心中事件がいっきに増えてしまったのです。
  • 「好色な人」とは、決して、性的なことに異常に関心がある人、という意味ではありませんでした。流行に敏感でセンスがよく、口の利き方も洒落ていて、人への気遣いも洗練されており、教養があって、三味線その他の音曲や絵画などの芸術・芸能の能力も高く、恋心についてもよく理解していたのです。
  • 心中があるから芝居や浄瑠璃が作られ、その浄瑠璃で心中がさらに増えました。そこには、急激に貨幣経済が浸透し、お金に振り回される人々の苦悩が見えました。
  • 遊廓は性を売っていたのではなく、恋の理想(夢) を売っていたのです。性だけの世界は貧しく、恋の世界は贅沢
  • 男性たちのファッションの基本は「清潔感」と「渋さ」であることがわかります。
  • 皆さんを遊廓に案内することは、その文化面の面白さから言えば、とても嬉しいことでした。しかし一方、他の社会であれば遊女たちが別の面で才能を発揮し、日本の文化と社会に大きな貢献をしたのではないかと考えると、とても残念な気がします。
  • 遊廓を考えることが、遊廓を超えて未来を考えることにつながっていくよう、心から願っています。
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